全柔連、中学生の絞め技を禁止 成長期の失神懸念「総合的に判断」45年ぶり見直し
全日本柔道連盟(全柔連)は24日、理事会で、国内大会における少年大会特別規定を変更し、中学生の絞め技を全面禁止することを決めた。従来は三角絞め以外の絞め技は認められていたが、全国レベルの大会でも選手が落ちる(失神)ケースが散見され、ルール変更を検討していたという。取材に応じた高山健事務局長は「絞め技は医科学的にリスクはないが、中学生は体格差が大きく落ちる(失神)場合もある。成長期の脳に一時的にでも血がいかなくなることはよくない。イメージも含め、総合的な判断で禁止にした」と説明した。
全柔連は安全面を考慮し、高校生以下の関節技使用を禁止するなどの少年規定を設けてきた。寝技において相手の頸部(けいぶ)を圧迫する絞め技は、投げ技や、寝技で抑え込むための固め技に並んで「一本」を取るための重要な技術の1つだが、絞められている側が「参った」をしなければ失神する場合もある。昨夏の東京五輪では、女子70キロ級準決勝で新井千鶴がタイマゾワ(ロシア)を絞め落としたシーンが記憶に新しい。成長期の中学生を守る意味で、見直しが俎上(そじょう)に上がった。
ただ、大きなルール変更とあって、連盟内の各専門委員会からも意見を出し合った。世の中に与えるイメージとして「場合によっては30キロ近く体格差がある中学生の試合で、(寝技で)上になった人間が下の人間を絞めるのはどうか」などと懸念する声も。一方で、選手強化の面では、世界カデット選手権などの国際大会では絞め技が認められる中で、国内大会でだけ絞め技を禁止することの是非が論点にもなった。
ただ、全柔連によれば、1977年までは中学生の絞め技は少年規定で禁止されていた。山下泰裕会長(64)らも中学時代は絞め技が禁止だったが、後に寝技の名手となっていることから、絞め技解禁は高校生からでも遅くないのではとの肯定的な意見もあったという。
この日の理事会も1時間近くに及ぶ白熱した議論を行い、熟慮を重ねた上で、中学生の絞め技を45年ぶりに見直すという最終結論に至った。