サニブラウン復活 世陸標準切り10秒04 「陸上楽しんでる」9秒台&Vで代表決める
「陸上・日本選手権」(9日、ヤンマースタジアム長居)
世界選手権(7月、米オレゴン州)の選考会を兼ねて開幕し、男子100メートルは前日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(23)=タンブルウィードTC=が準決勝3組を10秒04(追い風0・8メートル)の1着で全体トップとなり、10日の決勝に進出した。世界選手権の参加標準記録の10秒05を突破し、決勝で3着以内なら代表に決まる。男子5000メートルは遠藤日向(23)=住友電工=が2連覇を果たし世界選手権内定第1号となった。
強いサニブラウンが戻ってきた。準決勝はスタートこそ遅れたが、強力な加速で前にぐんと出ると、後続を大きく引き離してゴールした。世界選手権の参加標準記録をただ1人突破する10秒04。今季ベストの快走にも「反応が遅すぎる。もうちょっと集中しなきゃ」と首をひねる余裕すらあった。
2019年に9秒97の前日本記録を出すなど、大注目を浴びてきた。東京五輪での活躍も期待されたが、昨年はヘルニアに苦しみ、100メートルでの五輪出場を逃し、200メートルでは予選敗退。「言い訳するわけじゃないけど、しょうがない部分と、そういうところでもしっかり結果が出せる強い選手になりたい、と半分半分」と複雑な思いもあった。
現在腰の痛みは治っており、今大会は予選から全体トップの10秒11(無風)と絶好調。参加標準記録の突破も「突破しないと話にならない。出て良かったなという感じ」とクール。「去年より全然マシ。さすがに陸上を楽しんでる」と、3年ぶり3度の優勝へ充実感があふれた。
決勝で3位以内に入れば世界選手権切符。そして再び9秒台の可能性も十分ある。「走りのギアをあげて、小さなミスを直していけばタイムは勝手に出る。もう自分との闘いなので、練習でやっていることを試合でも出せるように集中していければ」と気負いはない。大復活の走りで、日本短距離界の主役は譲らない。
◆陸上男子100メートルの世界選手権への道 参加標準記録は10秒05。最大3枠で、以下の順に代表が決まる。(1)日本選手権3位以内で、同大会の当該種目終了時点で参加標準記録を突破した選手。(2)日本選手権3位以内で、6月26日までの有効期間内に参加標準記録を突破した選手。(3)日本選手権3位以内で、6月29日発表のワールドランクで出場資格を得た選手。(4)参加標準記録を突破した選手。(5)ワールドランクで出場資格を得た選手。