前王者・細川貴之が12月に王座決定戦
ボクシングの前日本スーパーウェルター級王者でIBF世界同級11位・細川貴之(29)=六島=が5日、IBFアジア同級王座決定戦を12月12日、タイ・バンコクでモセス・セラン(36)=インドネシア=と行うことを発表し、大阪市内のジムで会見した。
JBC(日本ボクシングコミッション)非公認の地域タイトルながらアジア進出拡大を狙うIBFにとっては価値を高めたいベルトの一つ。奪取なら同世界ランクの一桁台へのアップが見込まれる。
世界5回級制覇王者・メイウェザー(米国)ら強豪ひしめく階級で世界1本に絞り、陣営は戦略を練っていく。世界王者に2度輝いた名城信男(現近大ボクシング部コーチ)を育てた敏腕・枝川孝会長も青写真を描く。
「アジアタイトルを獲って、来年のIBF総会に乗り込む。うまくいけば世界挑戦できるかもしれん。その足がかり。やらへん限りはゼロやから。可能性はゼロじゃない。後輩もおるんやし、細川はつぶれても道を開拓するんや!」と同ジムにとっても将来を見据えた足がかりとなる。
細川は3月に日本王座を初奪取。8月に予定していた防衛戦は右目網膜裂孔のため中止となりベルトを返上した。日本、東洋ベルトを狙う案もあったが、困難な道を選んだ。
「目標としない限りはゼロ。野茂のようなパイオニアになる。俺の後にイチローも松井も出てくる」と、メジャーリーガーの先駆者・野茂英雄(元ドジャーズなど)に自らを例え息巻いた。
海外で行う今回の一戦は収入ゼロ。細川は渡航費、ファイトマネーを稼ぐため、ポスター、パンフレットを自作し、企業を歩いて回りスポンサー支援を頼み込んでいる。Tシャツもつくり販売。「毎日、営業マンです」と目標は200万円ながらまだ80万円しか集められない厳しさだ。
「海外で稼ごうというんや、これは先行投資」と会長も赤字を覚悟している。お手本は1日、米国シカゴでV3防衛したWBO世界バンタム級王者・亀田和毅。「いろいろ言われてるかもしれんけど亀田はすごいよ。自分の手で切り開いて行ってる。ファイトマネー5000万円やろ?」と手放しで褒めた。
現在IBF同級王者はコーネリアス・バンドレイジ(41)=米国。「他の団体に比べれば落ちる。年やし唯一、勝てるかもしれん相手。バンドレイジが王座にいる間に挑戦したい」が陣営の思いだ。日本人には高い壁の中・重量級。「何の才能もない」と自ら認める細川が「メイウェザーと王座統一戦」と途方もない夢を追う。
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