【スポーツ】歴史ある近代五種にも年少アスリート!14歳・太田捺「五輪で金メダルを」
スポーツの祭典、今夏の東京五輪では、さまざまな競技で若きアスリートたちが躍動した。特に新種目として実施されたスケートボード、サーフィンなどでメダルラッシュ。スケートボード女子ストリートでは日本史上最年少金メダリストが誕生するなど、歴史に残る大舞台となった。
都市型スポーツが脚光を浴びる一方で、歴史ある競技で奮闘している若きアスリートがいる。近代五種の14歳・太田捺(なつ)=根室スイミングクラブ=もその一人だ。東京五輪出場は逃したが、24年パリ五輪に向けて日々強化を続けている。
近代五種は1人の選手が水泳、フェンシング、馬術、射撃、ランニングを行う複合競技で、近代五輪の父と呼ばれるクーベルタン男爵により創設。1912年第5回ストックホルム大会から実施されている。
元々水泳をしていた太田は、菅原美香コーチに誘われて小学4年で三種(水泳、射撃、ランニング)に挑戦。小学5年からは五種に取り組み始めた。めきめきと実力を伸ばし、13歳だった今年3月にW杯(ハンガリー)に初出場。ただ、予選は1位通過したものの、決勝の馬術で練習中に落馬し、安全面からスタートできず、総合33位に終わった。
悔しさをバネに、夏の間は馬術を重点的に強化した。単発の試合に多く出場し、技術面だけでなく、競技会の雰囲気や緊張感を味わうことでメンタル面の成長も図った。
その成果もあって最年少優勝を果たした11月の全日本選手権では、馬術でノーミスの騎乗を見せ、男女合わせて唯一の満点。始めた当初は「目線が高かったのでとても怖かった」と苦手意識があった馬術も、今では「怖いが楽しいに変わった。うまく障害が跳べたときが1番楽しい」とあどけない笑顔を見せる。貸与馬で行われるため、その場で決まる騎乗馬と呼吸を合わせて障害を飛び越えていく姿に、見ている側も心が躍った。
そんな近代五種の“花形”の馬術だが、東京五輪ではドイツのコーチが馬をたたいた問題が話題に。国際近代五種連合(UIPM)は総会でパリ五輪後に馬術を除外して新種目を採用することを承認し、28年ロサンゼルス五輪では新方式で実施されることが決定的となった。
馬術にも慣れ、ここからさらに世界のトップへと駆け上がっていくという時期に衝撃が走ったが、太田は「馬術が変わっても変わらなくても全種目全て強い選手になりたい」。ただただ「五輪に出場して優勝して金メダルを獲得したい」という大きな目標をぶれることなく見つめている。3年後のパリ五輪は16歳、7年後のロサンゼルス五輪は20歳。無限大の可能性を秘めた若きアスリートの成長に注目したい。(デイリースポーツ・森本夏未)