【野球】球界の常識を覆す捕手3人制 三浦マジックが間違いなくDeNA優勝のカギを握る
これが三浦マジックか。球界の常識を覆す捕手3人制がDeNA優勝のカギを握ることになる。
DeNAが25日の阪神戦(横浜)でトレバー・バウアー投手の好投もあり5-3で勝利を収めた。首位決戦で3連勝を飾ったことで5月13日以来の単独首位に浮上。貯金はリーグ優勝を果たした1998年以来となる12までため込んだ。DeNAの残り試合は25日終了時点で78試合。本来ならこの時点で「#横浜優勝」と騒ぐほどペナントレースは甘くはないが、ファンの期待は高まるばかりだろう。
98年はボビー・ローズ氏(56)、石井琢朗現チーフ打撃コーチ(52)、駒田徳広巨人3軍監督(60)らを中心とした「マシンガン打線」が爆発。投手陣も野村弘樹(53)、三浦大輔現監督(49)、斎藤隆現チーフ投手コーチ(53)の3本柱が開幕から安定した投球を繰り広げ、5月終了時点では貯金3で広島、中日に続く3位。6月16日に行われた阪神戦(静岡)3連戦の初戦で先発した三浦監督が好投し、引き次いだ大魔神・佐々木主浩氏(55)が当時の日本タイ記録に並ぶ16登板連続セーブとなる17セーブ目をあげて阪神に1-0と辛勝。その勢いで同一カード3連勝を含む8連勝で首位に立ち、終わってみれば79勝56敗1引き分け、勝率・585で38年ぶりのリーグ優勝をもぎとった。日本シリーズでも西武を4勝2敗で破り2度目の日本一に輝いている。
このチームの担当記者だった経験があり、日本一メンバーの大半を取材したことがある。自然と当時のチームと現在のチームを比べてしまうが、決定的な違いがある。それは捕手だ。
当時は後に中日の監督になった谷繁元信(52)氏が不動の正捕手として投手陣をリードしてきた。この年、谷繁氏は134試合に出場したが、そのうち捕手としてマスクをかぶったのは実に133試合もあった。ところが、今季のチームは違う。三浦監督は戸柱恭孝(33)、伊藤光(34)、山本祐大(24)の3捕手をうまく使い分けているからだ。途中交代を含めればここまで戸柱は30試合、伊藤は27試合、山本は20試合にマスクをかぶっている。今回の阪神3連戦でもバウアーの女房役は伊藤、24日に今季2度目の完封勝利を収めた東克樹(27)の相手役は山本、初戦の完投で5勝目を挙げた今永昇太(29)をリードしたのは戸柱だった。
捕手は経験がものをいうポジションというのが定説だ。実際、故野村克也氏や古田敦也氏(57)のように経験豊かな名捕手が常時出場していたチームが好成績を収めてきた例が多い。
これまでも力量の近い2捕手を競わせて起用してきたチームはある。また、正捕手を休ませるために2番手の捕手に試合を任せることもあった。だが、捕手3人をほぼ均等に使い分ける起用法は画期的だ。1人の捕手で固定するメリットは当然ある、それでも、同一捕手がマスクをかぶり続ければ他球団にリードの癖や傾向を見抜かれる恐れもあり、そのリスクは回避できる。シーズン終了後に三浦監督の起用法がどんな結果を生むか、注目したい。(デイリースポーツ・今野良彦)