【荒木正医師】インフルエンザは流行前に接種を
【Q】妊娠した妻からインフルエンザワクチンの予防接種を今年は受けるように言われましたが、今まで一度も接種したことがありません。接種した方がいいのでしょうか。(30代男性)
【A】インフルエンザは、かぜと比較し高熱や関節痛などの症状が強く、感染力も強力なために流行が始まると短期間に小児から高齢者まで多くの方が感染するといった特徴があります。
また感染により、65歳以上の高齢者や慢性疾患患者で死亡率が高くなるという点でも普通のかぜとは異なります。このため、手洗いやうがい、休養以外にもワクチン接種による予防が重要となります。
インフルエンザワクチンの効果は年齢、本人の体調、そのシーズンのインフルエンザの流行株とワクチンに含まれている株の合致状況に寄っても変わりますが、65歳以下の健康な方で約70~90%、65歳以上の健康な方で約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を減らす効果があったとされています。
このため、重症化しやすい65歳以上の方や60歳から64歳で基礎疾患を有する方(呼吸器や心臓疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全症、抗がん剤や免疫抑制剤などを使用している方など)、6カ月から24カ月未満の乳幼児、妊婦の方は本人を含め、質問者の方のように同居されている方も接種を受けられることをお勧め致します。
さらに65歳以上の方では肺炎球菌ワクチンとの同時接種も非常に有効とされています。予防接種の回数は13歳未満で2回接種、13歳以上で1回接種が基本で、2回接種の場合の接種間隔はおよそ1~4週間とされていますが、できるだけ3~4週間程度の間隔をあけて接種した方が免疫の獲得は良いとされています。
なお、予防接種を受けてからインフルエンザに対する抵抗力がつくまでに約2週間程度かかり、効果の持続は約5カ月間とされていますので、より効率的に有効性を高めるためには、流行前の11月中旬までに接種を受けておくことをお願いしております。
◆荒木 正(あらき・ただし)03年、東邦大学医学部卒。東邦大学医療センター大橋病院などに勤務後、16年に東京都江東区に亀戸内科クリニック開設。循環器・糖尿病内科医として地域に密着。総合内科専門医。循環器専門医。
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