広島出身のHAYATAが11・11凱旋大会へ気合 バイト生活経てGHCジュニア王者へ
ノアのGHCジュニアへビー級王者のHAYATA(32)がデイリースポーツ中国本部(広島市)を訪れ、11月11日に行われる広島大会(広島産業会館西展示館)へ向けて意気込みを語った。同県熊野町出身のHAYATAは、高校を中退してプロレスの世界に飛び込み、長い間、アルバイトしながら戦っていた苦労人。2年前にノアに移籍すると、あっという間にスターダムにのし上がり、現在はジュニア戦線の主役として暴れ回っている。
リングに上がるときは顔に不気味なペイントを施し、試合後はマイクを向けられても、ほとんど口は開くことはない。ニックネームは「サイレント・オブ・ダークネス」(闇の沈黙)。孤高の雰囲気を漂わせ、ファンとの接触も断っている。
しかし、スピード感あふれるファイトは折り紙付きだ。今年7月にグローバルジュニアリーグで初優勝を飾ると、8月にはGHCジュニアヘビー級王座を2年ぶりに奪回。さらに9月には盟友・YO-HEYを破って初防衛にも成功した。
11月2日の両国大会ではYO-HEYとのリマッチで2度目の防衛戦が控えており、「お客さんに喜んでもらえる試合をして最後に勝てればいい」と気合を入れる。V2防衛に成功すれば、11日の広島大会にはベルトを引っ提げての地元凱旋となる。「知り合いや友達もたくさん見に来てくれると思うのでチャンピオンとしてリングに上がりたい」。故郷のファンの声援が大きな力になっている。
小さい頃からプロレスが大好きで、あこがれの選手は武藤敬司(56)だった。今年9月の大阪大会には武藤が約2年半ぶりにノアのマットに参戦したが、「自分がファンだったことは武藤さんに言えませんでした。こっそり写真を撮りたいくらい」と話すほど、今もあこがれの存在だ。自身の必殺技の一つであるムーンサルトプレスは武藤の得意技でもある。「いつか戦ってみたい」という思いは常に胸の中に秘めている。
高校2年で中退してプロレスの世界に飛び込んだ。福山市のレッスルゲートを経て、大阪プロレスに参戦。週1日の休み以外は毎日興行が行われ、HAYATAもリングに上がり続けた。「体力的にはきつかったけど、試合から学ぶことも多く、経験値はかなり上がりました」。ただ、プロレスの収入だけでは生活できず、工事現場での資材運びや駐車場の誘導員、居酒屋の店員などアルバイトも掛け持ちしていた。
17年9月にノアに移籍。ようやくプロレスだけで飯が食えるようになった。長い下積みが報われた形だが、本人は意外にも「流れの中で自然とこうなっただけで、自分の中ではそんなに上を目指すとかいう気持ちはなかったですね。アルバイト生活もそれなりに楽しかったですし」と、あっさりしたもの。
ノアではライバルにも恵まれ、充実した日々を送っている。「ジュニアでもメインを張ることもあるし、やりがいを感じる。お客さんから“こいつの試合は面白い”って思われるような試合をして、もっともっとノアを注目される団体にしていきたい」。広島が生んだイケメン王者。その視線の先には輝かしいチャンピオンロードが広がっている。
◆HAYATA 本名は隼田陽平。1987年8月4日生まれ。広島県安芸郡熊野町出身。06年にレッスルゲートでデビュー。大阪プロレス、道頓堀プロレス、ダブプロレスなどを経て17年9月にノアに移籍。主なタイトル歴は、666認定きかんしゃ級王座、大阪プロレスタッグ王座、DOVE世界ヘビー級王座、GHCジュニアへビー級タッグ王座など。現在は第40代GHCジュニアヘビー級王者。趣味はスケボー。好きなタレントは稲川淳二で、全国ツアー「怪談ナイト」には毎年足を運んでいる。家族は両親と姉。175センチ、75キロ。