ONEチャトリ氏の暴論騒動、ルール守り非難された海人が所属するSBが抗議文提出「無責任な暴言、看過できない」発言撤回と謝罪を要求

 23日にさいたまスーパーアリーナで行われた格闘技ONEの日本大会で、キックボクシングルールで対戦予定だった初代K-1スーパーウエルター級王者のマラット・グレゴリアン(33)=アルメニア=の計量失格により、試合中止となった海人(27)が所属するシュートボクシング(SB)協会は24日、ONEに対して正式に抗議文を提出したことを発表した。ONEのチャトリCEOが大会後の記者会見で、キャッチウェートによる試合実施に合意しなかった海人を非難していた。

 抗議文の全文は以下の通り。

 3月23日(日)に開催された「ONE172」後に行われた記者会見におけるイベントCEOチャトリ氏の一部発言にシュートボクシング協会として抗議を申し上げます。

 当初、今大会では協会から海人が参戦し、マラット・グレゴリアン選手と対戦を予定していました。大会前日(22日)午前11~13時に行われた公式計量で海人はハイドレーションテストおよび体重測定をクリアし、グレゴリアン選手の同結果に備えました。

 しかし、ルールに定められた規定時間内にグレゴリアン選手は一度も計量会場に現れず、ハイドレーションテストのための尿サンプルの提出と体重測定を行いませんでした。

 ONEの公式ルールブックには、選手が規定時間内にハイドレーションテストと公式計量を行い、ハイドレーションテストの数値超過と体重超過した場合の記載はありますが、規定時間を超過した場合の記載はなく、その後の采配について現場のONEの競技スタッフから一切の説明がなされなかった経緯がございます。

 さらに試合が実施されるのか否か定かではない状態のなか、海人と同行していた協会スタッフを通さず、ONEのスタッフから直接海人とトレーナーに公開計量場所への移動指示のメールが届き、しかもその指示内容も間違ったものでした。

 そういった混乱が続く中、協会スタッフが電話でONE側に問い合わせ、グレゴリアン選手が規定時間外でもハイドレーションテストをクリアした場合にキャッチウェイトでの試合交渉権利が発生することを確認しました。

 しかし、公式計量の規定時間の約1時間後(14時)に現れたグレゴリアン選手のハイドレーションテストには、規定時間を超過していたため日本の医療従事者が計量会場から退席しており、グレゴリアン選手が行ったハイドレーションテストには疑念が残るものでした。

 こうした経緯もあり、最終的に海人とグレゴリアン選手のキャッチウエイトでの試合実施は合意に至りませんでした。

 今回海人は本当にリスペクトしていたONEという舞台で、自身が熱望した対戦相手との試合に挑むにあたり、まさに全てを賭けて自分を作り込み、ONEの規定に則ったハイドレーションテストおよび体重測定をクリアし、試合を備えている状況でした。

 その海人の心情たるやいかばかりかと察すると、昨晩のチャトリ氏による「オーバーしたのはたった300グラム」、「彼は怖がって戦わない道を選んだ」などのあまりに無責任な暴言は看過できるものではありません。

 シュートボクシング協会としては、格闘技業界をより健全に発展させることを第一に考えており、あらゆる団体やイベントとのトラブルを望みませんが、ただ一つ、今回ONEのルールを尊守し誰よりも試合を心待ちにしていた海人への侮辱的な発言については撤回および謝罪を要求するものであります。

 シュートボクシング協会 代表 緒形健一

 この試合は、グレゴリアンが前日計量で尿比重を計測するハイドレーションテストの尿サンプルを制限時間以内に提出できず、その後、制限時間後に提出したものの、350グラムの体重超過で計量失格。さらに、ONEによればキャッチウェイトの交渉をしたものの海人が受け入れず不成立となり、大会当日になって試合自体の中止が決まった。

 ただ、この一件に関し、ONEのチャトリCEOは「(海人は)一番簡単な道を選んだ。海人がキャッチウェイトに合意せず、試合が実現しなかった。(海人が)恐れを持っているから戦わない道を選んだのではないかと思っている」と、違反したグレゴリアンではなく、ルールを守った海人への批判を展開。「(体重超過は)わずかなものだったので、戦うチャンスはあったと考えている。海人はファイトマネーは全額もらっている。本当のファイターだったら戦うべき。5パウンド(約2・2キロ)違ったらわかるが、(超過は)300グラムだけ」と矛先を海人に向け続け、「海人は(今いる)小さなプロモーション(興行)で試合をすべきだ」と悪らつな捨てゼリフまで吐いていた。

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