引き揚げの詩や手記を後世に 91歳体験者、全国から収集

 太平洋戦争後、引き揚げを経験した人の詩や手記を集めた記録集が今春にも完成する。自身も台湾から引き揚げた長崎県諫早市の詩人岡耕秋さん(91)=本名満岡剛太郎=が全国の詩人仲間に呼びかけ手がけた。「単に歴史の記録だけでなく、戦争で犠牲になった人々のための鎮魂の碑でもある」と話す。

 台湾で終戦を迎え、1946年、和歌山県田辺市に引き揚げた。「体力の弱い人から亡くなっていった」。白い布に包まれた遺体が船尾から海に葬られていく情景を今でも覚えている。同様の水葬が他の船でも行われていたと後に知った。

 長崎大医学部を卒業して内科医に。中国からの引き揚げ経験を基に、多くの作品を残した詩人の故入江昭三さんの主治医を務め、親交を深めたのを機に詩作を始めた。

 引き揚げ体験者が次々と亡くなる中、「作品が散逸する前に形として残したい」と、2017年に詩人仲間らと記録集の制作を開始した。

 問い合わせは「引揚詩」記録の会事務局、電話0957(24)6488(水曜を除く平日午前10時~午後3時)。

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