火元情報、現場で共有せずと指摘 消火中に消防隊員が殉職、静岡
静岡市葵区の雑居ビルで2022年8月、消火活動に当たった男性消防隊員=当時(37)=が死亡した火災で、市は17日、消火活動時の問題点などをまとめた最終報告書を公表した。火元に関する情報が現場で共有できていなかったと指摘。市による当初の調査方法にも問題があったと結論付けた。
難波喬司市長は記者会見で「情報共有しなかったことで迅速に初期消火できず、事故を誘因した可能性がある」と述べた。23年8月にまとめた事故調査報告書で盛り込んだ隊員の安全確保に関する教育など再発防止策の徹底を図るとしている。
報告書によると、現場の指揮隊員が火元となった飲食店の店長から出火時の状況を聞いていたが、隊員間で引き継いでいなかった。
隊員の死亡後に実施した調査では当初、現場に出動した22隊のうち一部の隊にしか聞き取りをしていなかったほか、隊員を一堂に集めて当時の活動状況を確認したため、同僚らに配慮した意見が出たとみられると指摘した。