大山、飛ばし過ぎ“警報” 観客への危険おそれ「左中間へ打って」と異例通達

 「阪神秋季キャンプ」(3日、安芸)

 “大山警報”が発令された。阪神の大山悠輔内野手(22)が3日、秋季キャンプのロングティー打撃で、推定飛距離130メートル級の場外弾を連発。チームスタッフが観客の危険を考慮して、打球方向の変更を指示する異例の事態に発展した。見守った金本知憲監督(49)はヤクルト・山田、小久保裕紀前侍ジャパン監督、西武・浅村級の大型二塁手への成長を期待した。

 安芸の空を彩る放物線が、左翼ポール際の防球ネットのはるか上を通過する。その行方を見つめる大山の表情は、どこか心配顔だ。「危ない!」。虎党の頭上を打球が襲い、周囲から警笛の音が飛ぶ。逃げ惑う姿に危険を感じた清水1軍サブマネジャーは、異例の指示を現場に伝えた。

 「何球も越えていたので。(左翼ポール後方の)コンクリート(壁)に当たって、跳ね返って(ファンに)当たると危ないですし」

 グラウンドにいたスタッフを通し、大山に打つ方向を左中間寄りにするようメッセージを送った。三塁側のベンチ前から放たれる打球は推定飛距離130メートル。成長を示す“うれしい誤算”とも言えるが、そんな場合ではない。前日の夕方、ポール後方の防護柵に「打球危険!立見禁止!」の張り紙を張ったばかり。大山のパワーは予想をはるかに上回っていた。

 見守っていた金本監督も目を細める豪快なスイングだった。「ボールをヘッドを利かせて運ぶというか、いいポイントで捉えるものを元々持っている」。指揮官自身は現役時代、ロングティーが「下手やった。うまく飛ばせなかった」と言う。やはり、天性の長打力は抜きんでたものがあるのだろう。「すごい飛距離だなと」。未来への希望を感じた。

 ロングティー終了後、大山はサブグラウンドへ移動。今キャンプ初の特守に臨み、新たに挑戦している二塁でノックを受けた。「まだまだです」。細かいフットワークなど課題はたくさんある。そんな22歳に、金本監督は期待を込めた言葉を送った。

 「肩も強いし、送球もいいし、守りに関していいものを持っているから。今だったら、大型二塁手は誰かな。山田(ヤクルト)とか、小久保(前侍ジャパン監督)も昔はセカンドだったし。浅村(西武)にしてもね」

 CSファーストSでは打率・538、1本塁打、4打点。勝負強さも兼ね備える青年は、球界を代表するプレーヤーになる可能性を秘めている。今は前進あるのみ。安芸に発令された“大山警報”は、いつか伝説になるかもしれない。

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