いつチャンピオンに?

 【12月4日】

 阪神球団オーナー(電鉄本社会長)の藤原崇起が1日付で球団社長に就いた。場当たり的な〈つなぎ役〉でないと信じるので、かねて当欄で記すように、兼任新社長の所信表明が待ち遠しかった。

 兵庫県西宮市の球団事務所へ足を運んだ藤原新社長は職員を前にこんなふうに挨拶したという。

 「我々の目標はチャンピオンフラッグ。これをみんなで力を合わせて取りに行こう」

 「コロナやら何やらの厳しい状況を乗り越えないと、チャンピオンフラッグは獲りにいけない。みんなで知恵を出し合って、チャンピオンフラッグのために一緒に頑張っていきましょう」

 チャンピオンフラッグというのは、もちろん、最終的には「日本一」のそれを指すものだと思う。つまり、巨人を2年連続でスイープしたソフトバンクに勝ちきるイメージを持ち、「みんなで力を合わせて」「みんなで知恵を出し合って」-そんな訓示だったと、僕は理解している。

 あのソフトバンクを倒す。容易(たやす)くないことは分かる。

 僕はぜひとも新社長の未来図を聞いてみたい。チャンピオンフラッグをいつ獲るイメージなのか。来年なのか。それとも3年後、5年後、いや、10年後なのか。

 来年に決まっとるだろ!そういって怒られるかもしれない。

 これは僕の認識だけど、もし、来季すぐにでもソフトバンクをやっつけたいのであれば、〈その準備として〉星野時代に負けない補強に乗り出すべきでは…と思う。

 ソフトバンクは今宮健太や武田翔太、甲斐野央ら日本代表クラスの主力を故障で欠いてなお、あの戦力を誇る。長谷川勇也、上林誠知、不振のW・バレンティンはもとより、2軍で結果を出し続けた内川聖一も出る幕がなかった。そんな日本版「銀河系軍」を倒すイメージを具体的にどう描くのか。

 阪神だって、主力全員がシーズン中の離脱なく、キャリアハイを成せば渡り合えるかもしれない。しかし、そうならない前提で強化備えを整えるのがこの世界。「21年の日本一」を照準にするならば悠長な育成論を語れるだろうか。

 前監督の金本知憲が長期政権を担う前提で招かれたことは読者もご存じの通り。できるだけ長く…それが本社、球団の願いであり金本もまたそんな覚悟をオール阪神で共有できると信じ、引き受けた経緯がある。それが、わずか3年で解任。梯子を外された格好だ。

 日本一のチャンピオンフラッグを狙い、かつ常勝を目指すならば僕らの前で広げなくとも、そこへ向かうビジョンを球団内で開示、共有していくはずであろう。

 取材の限り、藤原新社長が訓示した1日は、球団の役員会が開かれ、そこで早急命題として「ファーム施設の拡充」がテーブルにのせられた。僕が阪神キャップ時代「鳴尾浜からの移設検討」のニュースを報じて何年経つか。この案件は本社マターであるため、早速社長兼任オーナーの「現場主義」が意味を成すことになる。続きは次回。=敬称略=

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