今岡が語る岡田の考え

 【1月17日】

 事実を書けば、阪神が今岡真訪に対してオファーした職は「1軍チーフ打撃コーチ」だった。いや正確な肩書きは今岡がそれを固辞した時点でお蔵入りになったが、当初の組閣案ではそうだった。

 今岡は現役引退後、阪神で2軍野手総合コーチ、千葉ロッテで2軍監督、そして、1軍ヘッドコーチを担った。この度6年ぶりに阪神復帰を果たしたわけだけど、前歴への敬意もあっただろうし、何よりも、岡田彰布の野球観を知る生え抜きのV戦士。球団から「チーフ格」を打診されてしかるべき男だけれど、最終的には「1軍打撃コーチ」におさまった。

 今岡は岡田の後継者のひとりだと僕は思っている。48歳。適齢期だし、近いうちにその職を期待される存在だから、岡田政権で「要職」に就き…。球団、OBの誰しもがそうだと感じているはずだ。

 が、今岡はそれを丁寧に固辞した。同じく打撃コーチに就任した水口栄二が目上であり…いや、当人の胸の内を詮索することは控える。とにもかくにも、彼らしい選択。僕はそう思っている。

 さて、この日の午後、晴れて今岡の打撃コーチ就任会見が甲子園で行われた。しばらく体調が思わしくなく、新体制が公表された昨秋から3カ月遅れの所信表明になったわけだけど、ようやく楽しみにしていた今岡語録に触れたので自分なりに〓(U+5699)み砕いてみた。

 記者「選手時代に岡田監督から受けた影響は?」

 今岡「自分の能力を引き出していただいた。それが、岡田監督です。指導(そのもの)よりも、選手の能力を引き出すことが指導だと思いますし、それを教えていただいたのが岡田監督なんです」

 もともと、こういう会見での言葉数は多くない。だから、時に今岡の表現がメディアに伝わりにくいことがある。このコメントもちょっと言葉足らずかもしれない。

 今岡は若かりし選手時代、バントを失敗してファームに降格したことがあった。そんな場合、概ね2軍の指導者はバント練習を命じる。が、時の2軍監督は違った。

 「お前、なんぼバントうまなってもメシ食っていけへんぞ」

 岡田から掛けられた言葉だ。

 今岡がロッテの2軍監督を務めた18年からの3年間、僕はキャンプ地の石垣島へ毎春お邪魔した。

 美ら海の見えるリゾート宿舎へ招いてくれたこともある。時間を忘れ、野球談議する中で、今岡から聞いた「岡田彰布」論はとても興味深かった。

 「岡田監督は本質しか言わないんですよ。僕が毎日バントを特訓すべきかどうか。岡田さんは『お前、分かるやろ?』って。風さん分かりますよね?この意味」

 ご存じのように、岡田政権の05年、5番の今岡は147打点(球団記録)を挙げリーグ制覇に貢献した。同年は29本塁打(うち満塁本塁打4本)を放つなど、4番金本知憲の後ろで神がかった。

 選手の能力を引き出すことが指導だと思う-。今岡が「岡田の考え」を還元するときがきた。=敬称略=

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