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小田穂乃実の実になる話⑱持ち乗りってな~に?

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 レースに万全の状態で臨めるように、毎日馬のお世話をしたり、調教をつけたりする厩舎スタッフの方々。一概に厩舎スタッフと言っても、一人一人担当している業務や役割は異なります。大きく分けて、実際に馬に乗り調教をつける『調教助手』と呼ばれる方々、馬の普段のお世話や健康管理をする『厩務員』と呼ばれる方々がいらっしゃいます。

 今回は、自分の担当馬を持ち、普段のお世話もしながら、調教にも自分でまたがる、『持ち乗り』と呼ばれる方々のお仕事について掘り下げていきたいと思います。

 お話を聞かせてくださったのは、本田厩舎で調教助手をされている橋本宏和さん。オープン馬スピリッツミノル(19年大阪城Sで13番人気ながら見事勝利を収めました)などを担当されていた方です。イラストレーター・おがわじゅりさんのイラストにもよく登場し、“水色兄さん”の愛称でも親しまれている方ですね!

 「まず厩舎に来たら馬房の掃除を行い、乗る準備をします。厩務員さんだったらここで調教に乗る人にバトンタッチして馬を渡しますが、僕たちは担当の馬がいるので、そのまま調教して、終わったらお手入れをして、ということを2頭します」。一連の流れを全てご自身で行うのですね。ちなみに、担当を持たず、様々な馬の調教にまたがる助手さんは、『攻め専』と呼ばれます。元ジョッキーの方は、攻め専として調教をつけていらっしゃる方が多いです。

 「やっぱり担当の馬に関わる時間が長くなるから、その分、理解は深くなると思います。馬房での普段の様子だけでなく、実際に馬の動きを感じることができますしね」と、持ち乗りの助手さんならではの視点があるみたいです。「普段から“違和感”を見逃さないように気をつけています。それは、馬房の中で触っていて感じることもあれば、実際に馬に乗っている時に感じることもあります。少しの“あれ?”という違和感をそのままにしてしまうと、後からそれが原因でけがをしてしまったり、熱が出ていたり、ということにつながりかねません」。特に、馬房から出る1歩目でいつもとの違いが分かるそうなのです。わずかな変化を見逃さないことが肝心なのですね。

 1頭に深く関わるからこそ、やはりレースで勝利した時の喜びはとっても大きく、「レースに向かって順調に、思い描いていた調整をしてレースに臨んで勝てたときは、やってきたことが正解なんだなと思うことができますよね。でも同じ勝つにしても、勝つと思っていなくて勝った時は、特にうれしいですよね」と笑顔でお話してくださいました。勝負の世界だからこそ、結果で答え合わせをして、次に勝つためにはどうしたらいいのか、ということを常々考えていらっしゃいます。

 馬にも一頭一頭、個性がありますが、橋本さんは、「馬ごとにアプローチを変えるというよりも、一度自分のやり方でしてみて、駄目だったときどうしたらいいか考えます。第一に乗りやすく、調教しやすい馬にできるように、と考えています。人間も馬も力が入り過ぎずに動けることが大切ですからね」と、おっしゃっていました。攻め専の方や、厩務員さんもまた、違う角度から馬と関わっています。今度また、ぜひお話を聞かせていただきたいです!

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