「巨人６－５中日」（１日、東京ドーム）

　サヨナラ劇の余韻たっぷりのドームに、渾身の決めぜりふがこだました。「最高です！！」。巨人・阿部が史上１９人目、捕手では３人目、そして球団生え抜きでは王、長嶋に次ぐ通算４００号を達成した。昨年からこだわってきた数字を成し遂げ「忘れられないホームランになると思います」と感慨に浸った。

　五回に代打で出場し、一塁の守備へ。続く六回にメモリアル弾は生まれた。４点ビハインドを追いついた２死無走者の場面。「狙いつつ、狙わないで打席に入れた」。中日・田島の初球をフルスイングし「完璧だった」と右翼席にぶち込んだ。今季２７打席目に飛び出した１号で、球史の１ページに名を刻んだ。

　近年も２０１０年に急逝した元チームメート、故・木村拓也さんの墓前で手を合わせる。「拓さんは途中から出ることが多かったけど、やってきた人だからね。すごいと思う」。同僚として過ごした日々、自身は不動の正捕手だった。時がたち、経験して知った途中出場の難しさ。少ない打席をかみしめながらスイングを続け、偉業に到達した。

　阿部の１年目に、ヘッドコーチとして当時の長嶋監督に開幕スタメン起用を進言した原監督は「４００号にふさわしいホームランでしたね」と声を弾ませた。大黒柱の“記念日”に花を添える勝利で、連敗は「３」でストップ。再進撃の号砲となり得る劇弾だった。