横浜高・師弟対談!名門再建へ村田監督の情熱が渡辺元智元監督を動かした
名門復活へ-。甲子園春夏通算5度の優勝を誇る横浜を20年4月から率いる村田浩明監督(34)と、同監督の恩師で同校の監督として約50年けん引してきた渡辺元智氏(76)の対談が実現した。勇退後は一時グラウンドから離れていた名将も、新監督のリクエストで“復帰”。師弟による熱い野球談議を2回にわたって届ける。
◇ ◇
-母校の監督に就任した2020年を振り返って。
村田監督(以下、村田)「何とも言いがたいぐらいの1年間でした。苦しさもあれば、悩むこともあったりとか、どうしたらいいのかとか…。しっかり準備してきたつもりだったんですけど、実際、コロナという期間もありましたし」
渡辺氏(以下、渡辺)「村田は自分のスタンスを持っていながら、他人の意見にも耳を傾けました。わずかな時間の中で得た教訓というのが(監督就任を)決断させたのではないかな、と。ここまで持ってきたことは大変な手腕だと思います」
村田「やっぱり一番は渡辺先生がグラウンドに戻られたことっていうのが、私以外にも大きなものだったな、と。戻られてきたことによって、すごく私自身も強くなれたというか。(渡辺氏に)お話をしていただいたら、選手たちが生き返りましたよね」
渡辺「本音を言うと、(横浜高校に)二度と戻らないというつもりでいました。学校が嫌だとかそういうことではなくて。高校野球にお世話になりましたから、(監督退任後は高校野球普及のため)学童の方に目を向けていました。そういう状況の中で、村田監督から相談があったときに『名門復活を何としてでも成し遂げたい』と」
(続けて)
渡辺「そのことが非常に私の心を動かしました。ただ甲子園に行きたいということだけならば、私は断ったと思います。でも揺るぎない信念を持って訴えてきたから、少しでも役に立てるようなことがあればな、と。結果的にはグラウンドに戻れるチャンスというか、機会を与えてくれた村田監督には、逆に感謝したい気持ちです。私自身も母校の門をくぐることによって恩返しになるのではないかと。やっぱり細胞が生き返ってきたというか」
村田「横浜高校は渡辺先生が野球部の伝統を築かれてきた学校なので。私もお願いするのは恐縮したんですけど、やっぱり横浜高校のためにぜひグラウンドに来てくださいと話をしました」
-村田監督が指導者として改めてYOKOHAMAのユニホームに袖を通している。
渡辺「因果関係というのはあるものですね。(前任の)白山高校で一生懸命やっていました。そこに私の娘が少しお世話になったということもあり、お礼の意味を込めてアドバイスに行ってみようと」
村田「白山高校に来ていただいたのは(2年前の)10月でしたよね。(渡辺氏の次女である)元美さんにおにぎりを補食で作っていただいていて、練習前と練習後に。(この後、母校からオファーがあったことは)私も不思議でした」
-互いに監督の立場で指導論を交わすようになった。
村田「私が渡辺先生から教わってきたものは、『愛情が人を育てる』という言葉です。教員になったときに、私のために書いて贈っていただいて。家の玄関にも飾っているんですけど、毎朝見て行っています」
(続けて)
村田「指導論というのは野球の打撃論とか守備論とかいろんなのがありますけど、一番は『愛情が人を育てる』という言葉を念頭に置いて。それはどんな選手に対しても。みんな戦力ですし、みんな家族なので。そこを渡辺先生がやってきた以上に大事にしていかなきゃいけない」
渡辺「高校生の選手というのは難しい言葉を残すよりも、わかりやすくてインパクトがある言葉の方が響くんです。その言葉を基本に、今度は彼らがいろんな言葉を生み出していけばいいんですよ」
-渡辺氏が勇退されて以降は甲子園で上位進出がない。
村田「愛されるチーム、応援されるチーム、新生・横浜としていいチームをしっかりと作って。名門再建という形で、甲子園で勝つ、優勝する。そこは曲げずにやっていくとともに、やっぱり選手たちをあの場所に連れて行きたいです。僕も渡辺先生に連れて行ってもらったので。やっぱり向き合うとか、彼らのことを気づいてあげるとか、その積み重ねが本当に連れて行ってあげられるようになるんだなって。みんなで甲子園に行きたいですね。そのときは渡辺先生にも同じホテルに泊まってもらって」
渡辺「もうね、ありがたい。熱い言葉が伝わってきます。誰でも行けるようなところじゃないから、価値がある。聖地・甲子園を目指すということは『やがて人生の勝利者たれ』という私の格言にもつながります。最後は高校野球をやっていてよかった、横浜高校でよかったという選手を1人でも2人でも出してもらって。その中で、全国優勝できるようなことができれば望外な喜びです。村田監督を応援したい」
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