【メジャースカウトの眼】7色の球を自在に操る市和歌山・小園
「選抜高校野球・1回戦、市和歌山1-0県岐阜商」(23日、甲子園球場)
2年ぶりの開催となったセンバツ。32校の熱戦に、スカウトたちもスタンドから熱視線を送る。今大会もカンザスシティ・ロイヤルズの大屋博行国際スカウトがメジャーの視点から金の卵を分析する。
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注目投手が集まった。結果に良しあしはあったが、ここでは彼らの資質に注目する。
市和歌山(和歌山)の小園君は、7色の変化球を自在に操る。1球1球はそれほどすごいものではないが、すべて同じ腕の振りで握りを少し変えるだけで球を動かしている。決め球のスライダーは、右打者の目の前できゅっと外へ逃げるものや、カットボールのようなものなど複数ある。ツーシームも、スプリット系やぺこっとお辞儀をするように落ちるものなど。1つの変化球を何通りにも投げ分けられる感覚を持っている。
大阪桐蔭(大阪)の松浦君は、左腕で185センチという体格がまず魅力。昨年はもっと荒々しく投げていて直球にも威力があった。甲子園では力んでしまったが、直球を生かすために変化球を課題にしたい。
2番手の関戸君も意気込みすぎたが、本来は球を押し出す感覚に優れ、球足が長い投手。松浦君ほど長身ではないのに150キロ超を投げるのは、体のバネが強く、効率よく投げている証拠だ。
この日、掘り出し物だったのは、県岐阜商(岐阜)の左腕、野崎君。左打者へはカット気味、右打者へはシュート気味と外角へ投げ分ける力がある。この日一番まとまった投手で、プロの1軍でも通用しそうだ。