広商野球で10点大勝 オール単打11安打&無失策 94年ぶりセンバツ頂点へ西村主将「全員がつなぐ意識」
「選抜高校野球・1回戦、広島商10-2横浜青陵」(21日、甲子園球場)
1回戦3試合が行われ、昨秋の明治神宮大会準優勝の広島商が横浜清陵に大勝した。全て単打の11安打で、守っては無失策の堅守。伝統の“広商野球”で広島県勢として219勝目を挙げ、神奈川県勢を抜いて単独6位となった。智弁和歌山は千葉黎明を6-0で下し、優勝した21年夏以来の甲子園勝利となった。
伝統校らしさを随所にちりばめて圧倒した。3年ぶりに出場した広島商が10得点を奪って大勝発進。主将の西村銀士内野手(3年)は「自分たちには目立った選手がいないので、とにかく総合力で勝ちに行かないと。全員が後ろにつなぐ意識を持っている」と汗を拭った。
初回に相手失策とスクイズで2点を先制。三回以降も四死球と安打を絡めて着実に加点した。派手さはなくても各自が役割を遂行。安打は全て単打、守っては無失策という真骨頂のスタイルで主導権を握り続けた。
その中で存在感を示したのは田部壱瑳外野手(3年)だ。三回1死一塁で右前に運ぶと、四回は2死一塁から外角直球を左前打。いずれも得点に絡む快音で「持ち味の強い打球が打てた」と胸を張った。「成長過程が体に現れる、それを見るのが好き」という理由から、趣味は筋トレ。「内転筋に力がなくて外角球に弱かった。ウエートで鍛えると、逆方向への強い打球が増えた」と確かな効果を感じている。
五回裏が終わると選手たちはベンチで数分間、瞑想(めいそう)を行った。数年前から取り入れているルーティンで、腹式呼吸から精神面を整える狙いがある。4番を打つ名越貴徳外野手(2年)は「リセットして、余計なことを考えずプレーできる」とメリットを強調。チーム全体で施す工夫が、甲子園という大舞台でも平常心を保てる要因になっている。
3年前は1回戦を突破するも、直後にチーム内でコロナ感染があって2回戦は不戦敗。大会途中で出場辞退を余儀なくされた。94年ぶり2度目のセンバツ制覇へ、次戦は東洋大姫路と伝統校対決。「やるべきことをすれば、自然と流れはこちらに来る」と西村主将。自慢の堅実さで、優勝候補に挑む。
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