初日7アンダーで単独首位に立った山下和宏
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第2打をピンそばにピタリ、藤田寛之はギャラリーの歓声に手を上げて応える
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小鯛竜也は初日1アンダーでラウンド
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ボールをプレゼントしたりサインをしたりと、すし石垣は熱心にファンサービス
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山下首位、ロングパット次々決めて乗った
「河川敷」から叩き上げ 10年目の飛躍へ
「2007兵庫県オープン・ゴルフトーナメント」第1日は5日、兵庫県三木市・吉川インターGCメッチャ(6820ヤード、パー72)で行われ、山下和宏(33)=フリー=が7アンダーの65をマークして、単独首位。7バーディー、ノーボギーという会心のラウンドで初優勝に弾みをつけた。2位には藤田寛之(37)=葛城GC=ら4人が1打差で追う展開。ベストアマを目指す小鯛竜也(17)=クラーク記念国際高3年=が1アンダーの35位、アマチュアでは2番目と好位置につけている。
▼平常心が呼んだ
出だし、10番で7メートルのバーディーパットをねじ込んで、山下が波に乗った。12番が13メートル、13番では6メートルと、立て続けに長いパットを決めてバーディーを奪った。
プロ入り10年目の33歳。しかし「ブレークとは少し違う」と自己分析した。過去にシード経験はなく、QTによる今季の出場優先順位は98位と厳しい立場。それでも、長年の経験がある。今大会のような芹沢、宮本、藤田らビッグネームが顔を出す試合に「やっと慣れてきました」と、平常心が呼んだ好スコアを強調した。
先月にはチャレンジトーナメント・プロギアカップで、宮瀬博文とラウンド。その宮瀬が中日クラウンズで復活Vを遂げた。プロギアカップでは、転んで池に落ちそうになった宮瀬の服を山下がつかんで“救出”した。そこから急浮上の宮瀬に「あやかりたいですねえ」と笑った。
大阪・高槻の河川敷コースを管理するアルバイトが、ゴルフとの出合い。吹きさらしの河川敷で楽しさを覚え、プロを目指す決意をした。その後、関西のゴルフ場で研修生として腕を磨いたという叩き上げだ。
次週の日本プロゴルフ選手権は、予選会5位の成績で出場権を得ている。ここで予選通過、成績次第で出場優先順位を大きく上げられる。そのためにも「勢いをつけたい」と話した。
もちろん優勝に越したことはないが「緊張したプレーができればいい。自滅だけはしないように」。飛躍のきっかけとするべく山下は静かに燃えている。
〈WHO’S WHO〉
山下和宏(やました・かずひろ)1973年11月5日、大阪府出身。府立島上大冠高時代にゴルフ場のコース管理のアルバイトからゴルフを始める。研修生を経て98年にプロ転向。05年の関西オープン優勝。ツアーは未勝利で自己最高位は00年フィランソロピーでの27位。175センチ、70キロ。所属はフリー。
▼藤田貫録2位タイ 予備クラブで66
藤田がツアーシード選手の貫録を見せつけた。序盤の3番こそボギーとしたが、直後の4番でバーディー奪取。リズムに乗ると計7つのバーディーを奪い、6アンダーの66で2位タイにつけた。実力を発揮し「クセのないホールでした」と余裕の笑みを浮かべた。
次週出場する日本プロの開催地・沖縄へクラブを送ってしまったため、予備のセットで乗り込んだ。「サブでも試合で使うもの。クラブのせいにしないで回れました」。3パットでボギーとした直後に、感覚を修正しバーディーを量産した。
『チーム芹沢』の芹沢、宮本も上位に顔を出しており、「1、2、3フィニッシュ」というチームの目標達成も視野に入ってきた。「ツアーの4日目を想定していい経験にしたい」と、逆転優勝へ照準を合わせた。
▼高3・小鯛アマ2位 プロ転向へ「胸借りる」
2年前のベストアマ、小鯛が1アンダーの71で35位タイにつけた。昨年は日本ジュニアと日程が重なったため、2年ぶりの出場。「バーディーチャンスが続いていたので、気持ち的にはいい感じでいけました」と充実感をにじませた。
インスタートの11番ミドル、第2打をピンそば1メートルにつけてバーディーを奪った。16番ミドルではグリーンカラーから3パットしたが、ボギーはこの1つだけ。終盤の6番でもバーディーを取り、アマ選手に限れば2位となるスコアにまとめた。
今年はプロ転向を目指し奮闘中。アマとしての出場は今大会を最後にするつもりだ。「ツアーに出ている人たちは僕から見たらあこがれの選手。胸を借りるつもりでいきます」。高校3年になったばかりの17歳は初々しく語った。
▼すし石垣、奇抜プレーで人気も予選落ち
初出場で、多くのギャラリーを集めたすし石垣(33)=ゴルフパートナー=は、妙なガッツポーズや突然の気合の掛け声などでギャラリーを喜ばせたり、驚かせたりと期待に応えた。ただプレーは不調のようで、この日も76で予選落ち。「ねっ、調子悪かったでしょう」と、納得顔?でコースを後にした。
▼井戸木 「恥ずかしい」
昨年2位タイの井戸木鴻樹(小野東洋)が2オーバーの74、77位タイで予選敗退した。最終組スタートで、ホールアウトをしたのは午後7時前。薄暗い中でのラウンドを強いられるハンディを負ったが「明るくても暗くても一緒。こんないいコースでオーバーパーは恥ずかしい。練習して出直します」と振り返った。
▼小黒 プロの力発揮
プロ転向1年目の小黒貴志(フリー)は3アンダーの69にまとめ、14位タイとした。昨年、今大会でベストアマを獲得した後、プロに転向。本格的なオープン競技は今季初出場だったが、地元・兵庫で実力を発揮した。プロとして大会初制覇へ「調子はまずまず。明日は取りこぼしがないようにしたい。天気が悪そうなんで、我慢して回りたい」と、気を引き締めていた。
〈ナイスショット ミスショット〉
▽芹沢信雄(4アンダーで9位タイ)
「3パットが2回。もう少しいけたね。もったいなかった。でも距離感が合ってるんで僕にもチャンスがあると思う」
▽平石武則(前回覇者は4アンダー、9位タイと好位置)
「まずまずのプレーはできた。 でも上は雨でも伸ばしてくる面々だから、 明日は僕も攻めていかないと。攻めるのは苦手だけど」
▽宮本勝昌(5アンダーで6位タイ。雨対策をしておらず)
「今からサティに行って、ビニール買ってきます。カバーを手作りしますよ」
▽北澤数司(琵琶湖カントリー所属の34歳。ツアーシード経験のない苦労人は6位タイ)
「試合らしい試合は今季初めて。2日目は楽しみ。勉強したいです」
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