唐沢寿明「進歩のない生き方したくない」難役に覚悟 テレ朝系ドラマ「プライベートバンカー」主演
俳優の唐沢寿明(61)が主演するテレビ朝日系ドラマ「プライベートバンカー」(木曜、後9・00)が好調だ。謎多きマネーのスペシャリストを演じる唐沢は、インタビューでものらりくらりとつかみどころがない。役者としても“投資の三大原則”を自らに課し、昭和から令和までを駆け抜けてきたベテランの素顔に迫った。
率直に話している…ように感じるのだが、話が進むうちに本気なのか冗談なのか、迷路に迷い込んだような気にもさせられる。「書けないだろ、ほとんど。あと適当に書いておいてくれていいよ。加えといて」。ニヤリと笑う唐沢寿明は実に記者泣かせな男だった。
最新主演作は、マネーのスペシャリスト「プライベートバンカー」の暗躍を描くオリジナル作品。主人公・庵野甲一が資産7000億円の大富豪一族を相手に、相続争いや愛人問題などに切り込んでいく。
「最近はこういう感じの役が多いかな。あんまり本心が見えないような役が」。政財界を舞台にした主演ドラマ「フィクサー」シリーズなど、近年はミステリアスで底知れない役柄が続く。「今はそういう時期なんじゃないかな」とうなずき、続けた。
「ひとつのことをずっと通す人もいるけど、自分はそうじゃない。常にかっこよくいようと思ってないから。思う必要ないでしょ、俳優だから。かっこ悪い役も、みっともない役もやらないといけない。いろんな役をやっていると『今はこれをやる時期なんだな』って感じるんだよね」
今作では、投資の基本は「分散」「長期」「積立」だという格言が登場する。唐沢の歩みも同様で「若い時、作品が一個当たったタイミングでコメディーやったり、三枚目やったり、自分で世の中にビラまきしたのよ。こういうのもできるよって」と早くから役を「分散」してきた。
1980年デビューでキャリアは半世紀に近い。今作では、ブレークのきっかけとなったフジテレビ系「愛という名のもとに」以来、地上波ドラマでは33年ぶりに鈴木保奈美と共演。当時との違いを聞くと「不景気になったなって思うよね」と業界を俯瞰(ふかん)した。
「相変わらず視聴率のことを言ってるけど、時代が変わったんだから、やり方を変えないといけない。30%取ってた時を、それがいいって言ってるわけじゃなくてね。今までの当たり前みたいなことはどんどん崩壊していくよ」
バンカーが株価をにらむように先を読み「その年代ごとに考え方を変えないといけないし、自分や目標も変えなきゃいけない。俺は徐々に変えてるもん、世の中の情勢を見ながら。別に主演にこだわってるわけでもないしさ。でも、今はやるべき時だと思ってるから、今回みたいな役がきたなら頑張らなきゃいけないし、結果を出さなきゃいけないと思ってる」と覚悟をにじませた。
「まぁ、結果が出るかどうかはわからないけどね」と緩急をつけつつ、続けた。
「でも、何事もやらないよりやった方がいいんだよ。どういうことかっていうとさ、進歩がないんだよ。これは絶対にやりたくないんだ、俺。進歩のない生き方はしたくない。失敗してもいいからやる方がいいんだよ」
「長期」にわたるチャレンジと、それに伴う信頼と実績の「積立」。名バンカーさながらの投資術を自らに課してきたベテランの熱弁に、取材しているこちらが吸い込まれそうになる。
かと思いきや、将来についての問いには「いや、俺はもう、80くらいでぽっくり病になって死ぬと思うよ。書いておいて、ぽっくり病って」と変調。還暦を超えてユーモアがより自由度を増し、話がスイングしていく。
「60過ぎて何も見えてないんじゃやばいでしょ?違いが分かった上でやるのか、やらないのか。自分の責任にしたいんだよね。いいも悪いも。人のせいにしたくない」
流れるように話すと「まぁ、この作品がうまくいかなかったら『俺は関係ないから』って知らん顔しちゃうけど」と再びペースチェンジする。
「『あれ、俺じゃないよ』なんて言って、メガネもかけて分からないようにする。いいんだよ、それで。その代わり自分でできることは全部やらないといけない。それが俺の責任だから。責任は全うしないとまずいでしょ?」
株式会社・唐沢寿明が上伸し続ける理由が、そこにあった。
◇唐沢寿明(からさわ・としあき)1963年6月3日生まれ。東京都出身。東映アクションクラブでスーツアクターとして活動後、88年の朝ドラ「純ちゃんの応援歌」でヒロインの弟役を演じる。92年のドラマ「愛という名のもとに」でトレンディ俳優としてブレーク。大河ドラマ「利家とまつ」、映画「20世紀少年」シリーズ、ドラマ「白い巨塔」など代表作多数。近年はクラシックカーのチャリティーイベントを開催し、復興支援にも力を入れている。
【第5話あらすじ】
6日放送の第5話では、庵野が横領事件に挑む。国税の査察調査のために資料を確認していると、天宮寺グループの子会社から1億円が消えていることが発覚。さらにSNSに天宮寺グループで10億円以上の横領があったといううそのタレコミ情報が投稿され、事態は混迷を極めていく。
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