今年デビュー５０周年を迎えた女優の岡田奈々（６６）が、１４日に５０周年記念のプレミアム写真集ＢＯＸ「岡田奈々　ＬＡＳＴ　ＭＥＳＳＡＧＥ」（光文社）を発売した。５日にリリースされた５０周年記念の紙ジャケットＣＤ８枚組「青春のアルバム　復刻ＣＤボックス」や、９月に開催されるテレビドラマ「俺たちの旅」の５０周年記念スペシャルライブなど記念イベントが続く岡田に、写真集への思いや５０周年を迎えた心境、半世紀の思い出などを聞いた。

　岡田は「かわいい名前だと、ずっと気に入っていました」という「岡田奈々」の芸名で、半世紀を過ごしてきた。

　転機は７９年の女優宣言だろう。歌では「詞の内容が大人っぽく変わってきて、歌いこなせる力もなかった」と歌詞との乖離（かいり）を感じる一方で「女優としてのお仕事の方が興味が湧いてきて」のことだった。

　女優に専念するようになって、大きな出会いがあった。映画「あゝ野麦峠　新緑篇」（８２年）での巨匠・山本薩夫監督との仕事だ。岡田は製紙工場の女工役を演じた。

　山本監督からの指示は「立っているだけで女工さんになりなさい、女工のにおいがするようになりなさい」。役作りに非常な困難を覚えた半面、「役になりきることの面白さを知って」と、演技の魅力に目覚めた。

　「（製糸の）練習に２週間通って、体に染みつくほど練習して。ご飯を食べる時にはうまく箸を持たないでがっついて食べるとか、自分なりに工夫してやってみて」

　努力の成果に、山本監督は「ニコニコしていた」という。「過酷さでいえば『あゝ野麦峠　新緑篇』」という、印象深い作品となった。

　８０年代に一大ブームとなった大映ドラマでも欠かせない存在となった。「いろんな役にチャレンジできたのは大映テレビならでは。他ではいただけないような役をいただけて、役を作っているのが楽しかった」と言うように、『不良少女と呼ばれて』の令嬢、『スクール★ウォーズ』の良妻賢母、『乳姉妹』のヤクザの情婦など、俳優としての幅を広げていった。

　岡田は「あっという間に５０年たっちゃいました」と笑い、「一つ一つの作品を楽しんでやってきたから今がある。一つ一つ思い出深くて」と出演作への愛情を込めた。

　今月は５０周年を記念した写真集とＣＤ－ＢＯＸが発売された。写真集は「節目として何か残せる物ができないかとずっと思っていて、年齢的に最後の写真集になると思います」という。

　「全く新しい物をということで、アルバムを見ていて（出版社が）いいですねと言うのを集めてみました。世に出ていないプライベートな写真、いろんな方、ファンの方にいただいた写真も集めて」。結果、「素の部分、知らない部分が見られると思います」という、長年のファンにも刺さる「思い出アルバムのような１冊」になった。

　また、ＣＤ－ＢＯＸにも「歌っていたのは５年間のアイドル時代しかない。それなのに出させていただけるのがありがたい」と喜んでいる。

　岡田は５０年間も続けてこられた理由を「行き詰まったり、どうしようかということもあったけど、つぶしがきかないし、やりたいこともたくさんあったので、もっと頑張ってしようという気持ちでやってこられた。この先こういう役の方がいいのかとか年齢的に考えたことはありましたが、やめようと考えたことはなかった」と語る。

　今も「楽しめるものであったら挑戦したい」と前向きで、「俺たちの旅」のライブにも「２１歳から歌っていないので。舞台にも立っていない。きっとすごく緊張すると思います」と予想しつつも、「何をやらせていただけるかが楽しみの一つ」と期待している。

　岡田奈々の旅は、なおも続いて行く。

　☆岡田奈々（おかだ・なな）１９５９年２月１２日生まれ、岐阜県出身。７４年、グリコアーモンドチョコレートのＣＭでデビュー。ＮＥＴ「決定版　あなたをスターに！」チャンピオン。７５年、女優＆歌手デビュー。ドラマ「俺たちの旅」出演。７６年、楽曲「青春の坂道」がヒット。人気アイドルとなる。７９年から女優に専念。主な出演作に映画「青春の構図」「戦国自衛隊」「里見八犬伝」「最後の博徒」「無頼平野」、ドラマ「俺たちの朝」「ゆうひが丘の総理大臣」「警視庁南平班～七人の刑事～」シリーズなど。身長１６２センチ。