石川佳純、涙こらえ「最後はわからなくなった」悪夢の10連続失点“0点回避マナー”の無念
「東京五輪・卓球女子シングルス・準々決勝」(28日、東京体育館)
世界ランク10位の石川佳純(28)=全農=は、同47位のユ・モンユ(シンガポール)に1-4(11-8、5-11、12-14、6-11、2-11)で敗れ、12年ロンドン五輪以来となる4強入りを逃し、悲願のメダル獲得はならなかった。
「ここで負けてしまって悔しい」。
5年ぶりの対戦。過去の対戦成績でほぼ五分の相手に、幸先良く第1ゲームを奪ったものの、その後は要所で競り負けて3ゲーム連取を許した。「第3ゲームの10-8、12-11で挽回されて、そこから悪いながらを止められなかった」。追い込まれて迎えた第5ゲームは立ち上がりから10連続失点。0-10からのプレー。「最後はなかなか点数がとれなかったので、正直最後の1ゲームは何してるかわからなかった」。石川の4球目の返球をユは追う姿勢をみせず、1点が入った。卓球界にある暗黙の了解の1つ、“0点回避マナー”。無念の完敗だった。
取材エリア。何度も頭を抱え、視線は宙をさまよった。必死に気持ちの整理をしようとしていた。残るは2大会連続でメダルを獲得している団体戦。思いを問われ、これまで我慢してきた思いがこぼれそうになった。瞳はうるみ、言葉につまる。ずっと横をみつめ、最後は後ろを向き、必死にこらえて、絞り出した。「気持ちを切りかえていかないと。やらなきゃいけない。キャプテンとして。団体もたくさん練習してきた。練習してきたことをコートにぶつけたい」。リオから5年、すべてを懸けてきたこの夏は終わっていない。