川井梨紗子が連覇王手 吉田4連覇阻止の相手を組み手で圧倒「友香子いてくれてよかった」
「東京五輪・レスリング女子フリースタイル57キロ級・準決勝」(4日、幕張メッセAホール)
女子57キロ級の川井梨紗子が2試合を勝って迎えた準決勝でリオ五輪53キロ級女王のマルーリス(米国)を2-1で下し、5日の決勝に進んだ。
自身にとってはまず最低限、そして妹へは最高の形でバトンをつないだ。
準決勝では16年リオ五輪53キロ級金メダリストのマルーリス(米国)と対戦。あの吉田沙保里の4連覇を阻んだ相手を、組み手で圧倒し、消極的姿勢を引き出した。ポイント僅差ながら内容は圧勝。コロナ禍での1年半ぶりの実戦もなんのそので五輪連覇に王手をかけ、川井梨は「沙保里さんは『組んだ瞬間強いと思った』と言っていたけど、組んだ瞬間、いつものパートナーの方が強いと思った。1番感覚がよかった」と、うなずいた。
62キロ級に出場する妹・友香子との姉妹で金メダルだけを目標にやってきた。19年7月に五輪5連覇の偉業を目指した伊調馨との世界選手権代表決定戦を制し、そのまま五輪出場権を獲得して2度目の五輪切符を手にした。ただ、コロナ禍で五輪は1年延期。21年に入っても、開催が危ぶまれた中で、誰もが苦しんだモチベーションの維持は、姉妹の絆で乗り切った。
「お互い別々で波が来たこともあった。片方が『やるしかない』と思って、片方は『本当にあるのかな』って、落差があるときがあった。その都度その都度、お互い、気分が下がっている方に『やることは変わらないよ』みたいに慰め合っていた。励まし合ってここまできました」と、振り返る。
この日も、夜に決勝を控えた友香子がスタンドから見守ってくれた。「無観客で五輪で、久々の試合。ちょっと違うかなと思ったけど、友香子がいるから、いつもと一緒だわって。いてくれてよかった」。姉としての役割は確かに果たした。