【ライフ】チョコ界に新潮流!ビーン・トゥ・バーチョコレート
子どもからお年寄りまでみんな大好きなチョコレートに新潮流ができていることをご存じだろうか。Bean to Bar(ビーン・トゥ・バー)。カカオ豆(Bean)からタブレット型チョコレート(Bar)になるまでの工程を製造者が一貫して手掛けるスタイルのことだ。欧米で話題となり、日本にもその波が少しずつ押し寄せてきている。大のミーハーかつ、大のチョコ好きとしては黙っていられない。兵庫・芦屋市に先月23日オープンしたばかりのビーン・トゥ・バーチョコレート専門店「ICHIJI」を訪ねた。
JR芦屋駅南口を出てすぐのお店に入ると、カカオの香りがほんのり漂ってきた。おいしいチョコへの期待が高まってくる。「ICHIJI」では現在、3カ国のカカオ豆原産地と3種類のテイストで計9種類の組み合わせが楽しめる。これは食べ比べをせずにはいられない。今回は4種類のチョコを試すことに。まずは、原産地ガーナの「コンチェ」と呼ばれる、カカオ豆の種類に合わせたノーマルなテイストを実食。見た目は一般的な“板チョコ”とほぼ同じ。しかし、口に入れた瞬間、想像を超える味わいが広がった。上品な苦みと香ばしさ。甘ったるさとは無縁な、まさに大人の味だ。「ミルクなどを加えず、カカオ豆と砂糖のみで作っています」とオーナーの伊知地恭兵さんが説明する。余計なものは一切加えず、カカオ豆本来の風味を存分に生かしたチョコがビーン・トゥ・バーの醍醐(だいご)味といえそうだ。続いて同じガーナの「ビター」に挑戦。カカオ分を85%まで引き上げ、苦みが増すことでいっそう風味が引き立ってくる。次は人気が高いというタンザニアの「クランチー」を細かくした粒状でいただく。カカオ豆を砕いた「カカオニブ」を加え、食感を楽しめるテイストだ。数粒つまむとナッツの香ばしさがガツンときて、後からチョコのほろ苦さとフルーティーでさわやかな酸味がやってくる。ワインやビールなどお酒との相性がいいのもうなずける。原産地が違うだけでこれほどまで味が違うとは驚きだ。最後に、トリニダード・トバゴの「ビター」。まろやかな風味にやみつきとなり、何度も口に運んでしまった。9種類の組み合わせから、お気に入りの味を探すのも面白い。
伊知地さんがビーン・トゥ・バーチョコレートと出会ったのは約1年前。知人から紹介されたお店で一口食べて「衝撃を受けた」ことで一念発起。当時、居酒屋の店員だった身から、様々なお店をめぐり独学でビーン・トゥ・バーの世界へと飛び込んだ。今では、カカオ豆の仕入れから選別、焙煎などすべて自ら行うという“華麗なる転身”ぶり。「チョコ作りは、気温や湿度によって毎日表情が違う。同じ日がない中で、安定した味を作り上げていくのが苦労するところであり、魅力です」。今後は、味のバリエーションの増加や、チョコ作りを体験できるワークショップ開催などにも意欲的で、チョコへの情熱は尽きない。
新ジャンルということもあり、専用の機械も確立されておらず、手作業の工程が多いことで1枚のチョコの完成までに最低3日ほどはかかるそう。それだけに価格も1枚(55グラム)1000円以上だが、プチ贅沢にはもってこいだ。店内には、ゆったりとしたカフェスペースもあり、すべてのドリンクにビーン・トゥ・バーチョコレートがついてくる。自分へのご褒美に、手間暇かけられた本格チョコを満喫するのはいかが?(デイリースポーツ・佐藤敬久)
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