【スポーツ】ラグビー日本代表候補、「ウルフパック」6試合の意味

 9月開幕のW杯を目指すラグビーの日本代表候補は、特別チーム「ウルフパック」を編成して強化試合を行ってきた。3月末から5月半ば過ぎまで、国内とニュージーランド、オーストラリアで計6試合を消化。5勝1敗で、「ウルフパック」としての活動を終えた。

 この成績だけで、日本代表の強化の度合いを測るのは難しい。対戦相手のほとんどがスーパーラグビーに参戦するクラブの下部チーム。一線級の相手ではなかった。日本代表候補として2月から1つのチームとして合宿を重ねてきたチームとは明確な差があった。

 勝敗を論じる試合ではなかったことは選手ももちろん認識している。ナンバー8姫野和樹(24)=トヨタ自動車=は「相手はBチームで、チームとして組織されていなかったところで、僕らは組織化されていた。勝因はそこかなと思います」と話した。

 では、この6試合の意味は。姫野は「フィジカル的にたくさん当たれて、体をなじませるというか、いい感じでパフォーマンスも上がってきてよかったですね」と明かす。組織化されていない下部チームとはいえ、相手は体の大きさやフィジカルは一線級。国内の合宿では体感できない相手と、早い時期に体をぶつけ合うことに1つのメリットがあった。

 SH田中史朗(34)=キヤノン=は「春の時点でウルフパックとしてやらせてもらっているのは、ほかのチームよりコミュニケーションや戦術を理解するという意味でよかったかなと思います」と戦術テストの意味合いを挙げた。W杯に出場する他チームに先んじて、戦術を浸透させる利点を強調した。

 その上で「コミュニケーションがとれなかったときに、点数をとられたり点数をとれなかったりする。レフェリーとのコミュニケーションも学んでいかないといけない」と、強化試合を経ての課題も挙げた。

 日本代表候補は約60人から40人程度に絞られて、6月から宮崎で3次にわたる強化合宿に入る。その後7月末からは、パシフィックネーションズ杯で3試合を戦う。8月中旬の網走合宿を経て、9月3日が登録期限となる31人のW杯日本代表が決まる。大会まで残り100日余り。5月までに得た手応えを胸に、そして課題を消化し、さらに強化して本番を迎える。(デイリースポーツ・鈴木創太)

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