【野球】ヤクルト19歳・村上2年目のブレーク 青木も驚く能力とは
期待を上回る成長曲線を描いているといっていいだろう。ヤクルト・村上宗隆内野手(19)だ。今季ここまで全試合に出場。7月3日の広島戦(マツダスタジアム)では、松井秀喜氏以来25年ぶりとなる高卒2年目以内でのシーズン20本塁打を放った。現在66打点はリーグ2位につける。
プロ2年目のブレーク。チームメートに、同じ過程を経た大先輩がいる。昨オフに自主トレをともにした青木宣親外野手。1年目は2軍で実戦経験を重ね、2年目に開幕からレギュラーに定着。いきなりシーズン200安打を達成して首位打者、新人王に輝いた。
高卒と大卒の違いはあれ、通じるものはあるのでは-。青木に尋ねると「19歳だからね。アイツはすごいよ」と笑いながら、自身の分岐点として大きかったのは「シーズン中にスイングを変えて結果を残せて、それが自信になった」ことを挙げた。5月から交流戦にかけての時期にモデルチェンジに踏み切り「そこから面白いようにヒットが出るようになった」という。
実質的には1軍で初めてのシーズン。実力者ぞろいの相手に結果を残すには、対応力は欠かせない。後輩の打撃の変化について、青木は「それはアイツもあると思う。変えて真っすぐに当たるようになった。まだまだだけど、確率も上がったでしょ?」と指摘した。
確かに、村上は今季序盤は140キロ台中盤の直球になると空振りが多かった。それが徐々に対応できる球速帯が上がり、直球で打ち取られる場面が減った。本人に確認すると「タイミングの取り方ですね。右足を上げたり、上げなかったり。考えながらやっているので」というのが修正したポイントだった。今春のキャンプイン時は、ほぼノーステップ。キャンプ中に高めに上げる形に戻したが、試行錯誤を経て、現在は少し上げる程度に落ち着いている。
もちろん2年目で、毎日の練習と試合をこなすプロの生活に慣れたというのは大前提としてある。そのうえで、受け身ではなく自分で考えて実践すること。青木は弟分の成長の要因について「いろいろ話してみると、すごく自分で感じて考えてやっているなと。思ったより早く順応できている」と認めていた。
増えつつある打撃の引き出し。そんな若き大砲に一層の成長を望んでいるのは、石井琢朗打撃コーチだ。当初から抱いているのは「長距離打者であると同時に好打者。反対方向への長打、変化球にもついていける印象」。最近は変化球に粘りきれない場面が少なくない。「直球への対応に自信が出てくれば、また変化球の対応もできるようになる。二面性がうまく使い分けられるようになれば」。求めるレベルが高いのも、期待の表れだろう。
後半戦に入って、相手の対策も進むのは間違いない。残りは54試合。持ち前の「考える力」と「対応力」で壁を打破していければ、19歳が残す数字はさらに伸びていくはずだ。(デイリースポーツ・藤田昌央)
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