【芸能】志村けんさん かつてはヘビースモーカー…タバコとエンタメ界との関係
偉大なるコメディアン・志村けんさんが70歳の若さで亡くなってしまった。日本中に衝撃を与え、改めて新型コロナウイルスの恐ろしさを知らしめたが、もう一つ、コロナウイルスと喫煙の関係もクローズアップされた。
志村さんは肺炎にかかった2016年以前には、1日3箱もタバコを吸うヘビースモーカーだったという。新型コロナは喫煙などで肺にダメージのある感染者に重篤な症状を引き起こすといわれており、志村さんにも、その影響があったのかもしれない。
志村さんの死で愛煙家が身震いする事態となったが、すでにタバコは「瀬戸際」に追い込まれていた。18年に成立した「改正健康増進法」が4月1日から施行されており、受動喫煙防止を目的に、これまで喫煙が許可されていた屋内施設が原則禁煙となっている。
東京都はさらに厳しく、改正健康増進法と同時に「受動喫煙防止条例」が施行され、「家族経営や従業員がいない店舗(子どもが出入りする場合は不可)」のみ例外として喫煙可となっている。新型コロナの影響を年明けから受け続けて飲食店は、「改正健康増進法」の施行がWショックになるといわれていたが、コロナの止まらない感染拡大に、いまやタバコどころの騒ぎではなくっている。
すっかり、悪者になってしまったタバコだが、滅び行く文化の証人であることには間違いない。昭和の映画やTVドラマで大スターがタバコを吸うシーンは確かにカッコよかった。タバコに火をつける小道具もマッチ、ZIPPOのオイルライターなど、いかにも男の“だて”を演出していた。
ケーブルテレビでは昭和・平成の映画やドラマを何度も放映している。私はこれを見るのが大好きで、今は亡き高倉健さん、石原裕次郎さんらの大スターの姿とともに、鉄道・車・タバコをチェックしている。鉄道ではブルートレインや国鉄時代のディーゼル特急、車は箱スカGT-R、ベレットGT-Rの雄姿が画面に現れると、思わず絶叫してしまうほど。
古い映像には、新聞社の編集局も登場し、木造フロアのうえ、灰皿には山積みの吸い殻。原稿を書きながらのくわえタバコも当たり前で、若い人には「はぁ?」と思われそうだが、私はこれもある意味“新聞社の文化”だったと思っている。
最近は映画・ドラマには喫煙シーンさえ登場しない。タバコを敵視するあまり、過去の作品の喫煙シーンを放送するなという声もあるそうだが、それだけはやめてほしい。タバコがエンタメの世界でどう扱われていたか分かるし、もはや、数少ない“日本のタバコ文化”の証人でもある。
JTの調査では、日本人が吸っていた紙巻きタバコのピークは1966年。喫煙率は男性が平均83・7%、女性18・0%だったが、2018年には男性27・8%、女性8・7%となっている。私自身も若い頃からタバコを吸い続けていたが、5年前にやめた。だからといって、愛煙家も否定はしない。好きな人は吸えばいい。吸わない人に迷惑をかけないように。タバコは志村さんの命を奪った、にっくき存在なのかもしれないが、その歴史を残すことも忘れないでほしい。(デイリースポーツ・木村浩治)
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