【野球】巨人・原監督が語る“アウェーの極意”やっぱり観客あってのプロ野球
新型コロナウイルス感染者が国内で減少傾向にある。仮に、最短で目指している6月19日がスタートとなれば、阪神対巨人戦が開幕カードとなる。
昨年から、巨人担当になって甲子園での伝統の一戦、独特のムードで両軍が戦う雰囲気を肌で感じることができた。球音がいまだに聞かれないこの時期、球界関係者は昨年までのスタジアムを埋めつくしたスタンドに改めて感謝の念を持っているだろう。巨人の原監督はアウェー感の中でも堂々と戦い、結果を出せる選手が巨人の中から、多く出ることを願っている。
今年の春季キャンプ前、体育学部客員教授を務める母校・東海大での教職員向け講演会でのやりとりで面白い話を聞けた。質問コーナーでは実力のある学生が海外での遠征先や試合環境が変わると、急に力を発揮できなくなる学生もいるという。その問いに原監督は敵地を味方にするということを心に植えつけることが大事と答えていた。そして、現役時代の甲子園でのプレーを思い出しながら語っていた。
「アウェー感を勉強できたのは阪神、巨人の甲子園ですよね。ファンの比率が9(阪神ファン)対1(巨人ファン)ですよ」。ある伝統の一戦での一コマ。最終回に阪神の反撃に遭ってピンチとなり、抑えの石毛と捕手の大久保が真っ青な表情になってマウンドに集まった。当時“選手・原”も輪に加わりこう声をかけたという。「デーブ(大久保)、何か気持ちいいな。みんな阪神を応援しているな。石毛、ちょっと一泡吹かせてみろよ」。
試合後は、宿舎に戻るや大久保捕手から「なぜ、あの心境でああいうことが言えたのですか」と再度、尋ねられたという。
「そう思わないと、負けますよ。5万人が敵だから。それを受け止めて、楽しんじゃえみたいな心境になったら、そう気負うことはないです」。
強烈なアウェーの緊迫感が漂う中、自分の持っている力を出し切り、全力でプレーするからこそ名勝負やドラマが生まれる。こんな話を思い出し、今年もこんなドキドキするシーンが見たいとつくづく思う。やはりプロ野球は閑散としたスタンドで選手がプレーするより、ファンの前でプレーするからこそのプロ野球。そのためにコロナ禍が早く終息することを願う日々だ。(デイリースポーツ・水足丈夫)
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