【窪谷日奈子医師】白内障で目が白くなった?「それは白内障ではありません」
「最近白内障のせいで、目が白くなってきました…」
そうおっしゃって眼科を受診する患者さんがよくいます。ですが気にされているその白いものは、白内障ではないことがほとんど。今回は眼科医がよく外来診療中に経験する「あるある」をお話したいと思います。
ちなみに白内障がかなり進行すると、茶目の中央にある黒目の部分に肉眼で白内障が見えることもあります。とはいえかなり熟成しないと普通はまず見えないものですし、そもそもそこまで白内障が進んでいたら自分で自分の目を見ることすらできない状態のはずです。
患者さんが「白くなってきた」とおっしゃるものは、黒目のふちの部分にある白い輪のような濁りのことがほとんど。これは白内障ではありません!このリング状の濁りは、年齢にともなってでてくる変化・・・その名も「老人環(ろうじんかん)」と呼ばれるものです。脂肪の沈着によるものと言われていて、高齢になるとみなさん出てくるものです。
あくまで目安ですがこの老人環は60才頃から黒目の下のほうから出始め、80代になるとほぼ100%の方の目に見られます。
強く濁ると目の色が変わったように見えたりもしますが、目の中心まで濁ったりはしませんのでこれで視力が下がることはほとんどありません。ですから濁りがあったとしても、治療の必要はないのです。
ただし40才以下でこの輪が出るときは、高コレステロール血症などの病気や目の病気の可能性があるのでご注意を。これを読んで気になった方は鏡を出して、黒目のふりに目立つような白い輪があるかチェックしてみてください!
もしもお若いのに白い輪がはっきりしている場合は、眼科とあわせて内科でお体のチェックを受けてみてくださいね。
余談ですが、多くの眼科医が感じていると思います・・・「老人環」という病名をなんとかしていただきたいと。日常的によく説明する病名ですが、「老人」と患者さんに面と向かって言うのは大変気まずいです。「これはその…年齢の変化でして…」と濁して説明していますが、個人的には他の病名に変わることを期待しています。
◆筆者プロフィール 窪谷日奈子(くぼたに・ひなこ)医療法人社団吉徳会・あさぎり病院・眼科医長。眼科専門医。
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