【窪谷日奈子医師】中高年を悩ませる老眼…急に近くがよく見えるようになったら要注意!
老眼は近くが見えにくくなってくる、年齢の変化です。手元の細かい文字が見えにくくなると、そんな年になったなと感じることでしょう。出始めには老眼であることを認めたがらず、かたくなに眼鏡をかけずに過ごそうとされる方もいらっしゃいます。また老眼を軽く見て、市販の適当な眼鏡をかけている方も多いようです。
老眼鏡を使わず無理して見ようとすると、眼精疲労による疲れが蓄積して眼痛や頭痛・肩こり・食欲不振などの体調不良が出現することがあります。不調の原因が老眼や眼鏡が合っていないことということも。老眼を軽く考えず、適切な眼鏡を使うことが大切です。
そもそも老眼とは、ピントを合わせるための水晶体というレンズが年齢とともにかたくなり、水晶体の厚さを変える毛様体小帯という組織が弱ってくることで起こります。近くのものにピントが合わなくなり、また近くから遠くへ、遠くから近くへピントを合わせるのに時間がかかるようになります。
老眼は加齢に伴う変化なので、治療法はありません。また目の中の筋肉はトレーニングで強化することはできませんので、ピントが合いにくくなったら老眼鏡で矯正する以外に手段はありません。老眼と思ったら、まず眼科の診察を受けましょう。違う病気という可能性もありますので、きちんと検査を受けることが大切です。
また老眼鏡には色々な度数がありますが、度が強いほどよく見えるというわけではありません。強くなるほど近くにピントが合いやすくなりますので、生活スタイルや老眼の強さによって調整する必要があります。
ある程度の年齢になった頃に「ずっと老眼だったのに急に近くがよく見えるようになってきた」という現象が起こります。これは喜べない変化で、年齢の変化で白内障が進んできたサインです。白内障で水晶体が硬化してくると、近くにピントが合いやすい近視の状態になってくるのです。急に老眼鏡が合わなくなった、近くが見えやすくなったと感じたら、検査を受けるようにしましょう!!
◆窪谷日奈子(くぼたに・ひなこ)医療法人社団吉徳会・あさぎり病院・眼科医長。眼科専門医。
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