【窪谷日奈子医師】「スマホ老眼」20代から出現する老眼とは
最近20~30代の方々に「手元が見えない」「夕方になると見えにくい」「スマホを見たあと遠くがぼやける」といった老眼のような症状が増えています。スマホを長時間使うことによって出現する「スマホ老眼」と呼ばれる症状です。
「加齢による老眼」は調節力が年齢の変化で落ちることでおこります。「スマホ老眼」は加齢性のものと違い一時的な症状のことが多いです。しかし繰り返すうちに重篤化するケースもあるので注意が必要です。
スマホ老眼はなぜ起こるのでしょうか。目は見る距離に合わせて、常にピントを調節しています。ピントはカメラのレンズにあたる「水晶体」と、それについている筋肉「毛様体筋」で合わせています。近くを見る時は、筋肉の動きで水晶体を膨らませてピントを合わせているのです。
スマホ老眼は近い距離を見続けることで、筋肉の緊張状態が続き凝り固まってしまうことでおきます。小さなスマホ画面を長時間凝視していると目に大きな負担がかかり、見えにくさだけでなく、目の痛み、集中力の低下やいらいら、肩こりや頭痛、背中の痛みなどの全身症状が出ることもあります。
対策としては、まず眼を酷使しすぎないことが大切。スマホやパソコンでの作業は1時間ごとに休憩をはさみましょう。休憩時は遠くを見て目を休めると効果的です。また、目と距離をあけ近づけすぎないように気をつけること。そしてきちんと睡眠をとることも大切。血行をよくするために、目や首を温めたり、肩甲骨と肩関節を回す運動を取り入れると良いと思います。
またスマホ老眼の状態で眼鏡を合わせると、健常時の視力と差があるため不適切な度数になりやすいです。眼鏡を合わせるときは、疲れたときでなく体調の良いときにしましょう。勤務中はずっとパソコン作業、仕事が終わってもSNS、ゲームに夢中…そんな方は要注意。今すぐこの画面から顔を上げて、遠くの景色を見て目を休めてくださいね!!
◆窪谷日奈子 医療法人社団吉徳会・あさぎり病院・眼科医長。眼科専門医。
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