【窪谷日奈子医師】バイオレットライトで近視が止まる? 進行を抑える遺伝子に働きかけと報告
近視は日本をはじめとしたアジア諸国でよく見られ、失明のリスクがある強度近視も年々増えています。小学生から中学生にかけて進行しやすいとされ、強度近視になると3人に1人は失明をふくめた何らかの病気を発症するという報告もあります。この近視を抑制する効果があると最近話題になっているのが「バイオレットライト」です。
ブルーライトはよく耳にするけれど、バイオレットライトは耳慣れないという方も多いでしょう。ブルーライトは極端にあたると、目の奥の網膜や睡眠リズムに悪い影響を与えているといわれています。ブルーライトカットをカットできる眼鏡を、すでに使っているという方も多いでしょう。
バイオレットライトも太陽光に含まれていますが、ブルーライトよりさらに短い波長の紫色の光です。蛍光灯やLEDにはほとんど含まれず、昼間でもUVカットされたガラスでは、バイオレットライトはほとんど透過しません。屋内活動が多くさらに夜型の現代社会では、バイオレットライトを浴びる時間がかなり減っているのです。
以前より屋外で長く遊ぶ子供には、近視が少ないという報告はありました。単純に遠くを見ている時間が長いということもありますが、もうひとつバイオレットライトに当たっていることが近視進行の抑制に働いていることが最近わかりました。
動物実験によるとバイオレットライトは近視の進行を抑える遺伝子「EGR1(イージーアールワン)」に働きかけると報告されています。
最近は自然な太陽光を再現し、バイオレットライトを放射する眼鏡の開発もすすんでいるとか。光をさえぎる眼鏡から、光を放射する新しいタイプの眼鏡の誕生ですね。
ブルーライトの悪いイメージが広まり、光はカットするほうがよいと思われがちですが、人の体には必要な光もあるというのは興味深い報告です。バイオレットライトをあてる機器の開発も楽しみですが、まずは屋内にこもりすぎず自然光に当たる機会を作ってみるのもよいですね。
◆窪谷 日奈子 医療法人社団吉徳会・あさぎり病院・眼科部長。
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