ウイルスの感染力と毒性の関係 感染力が高いからと言って弱毒化とは言い切れない
中国の研究所から流出したとかいう陰謀論はさておいて、元々この世には4種類の「旧型」コロナウイルスが存在していました。地球上で過去に3回「新型」コロナウイルスが出現したということです。それが1億年前か数十年前か、いつのことかは判りませんが、その度に当時の「新型」コロナウイルスで、多くの生命が奪われたはずです。今のように遺伝子解析技術などない時代のことですので「疫病が流行して多くの犠牲者が出た」で済まされただけのこと。
「旧型」コロナウイルスは冬のカゼの3分1のを占める、ありきたりのウイルスです。2002年末から30以上の国に拡大し、一年あまりで感染者8000人、800人弱が死亡したSARS(致命率10%弱)、中東で局地的に流行し30カ国で2500人の感染者が報告され800人以上が死亡(致命率35%弱)したMERSが、世界中に蔓延しなかったのはその毒性の強さゆえでした。
ウイルスの感染力と毒性は反比例するというのは実際は結果論です。毒性が弱くなれば感染力は高まりますが、感染力が高いからと言って弱毒化とは言い切れません。エボラ出血熱などのように感染したらすぐ発症して命を落とす強毒性ウイルスは世界的に大流行しません。毒性が弱ければ感染者は元気に動き回り、全世界にそのウイルスを撒き散らします。
新型コロナウイルスは、現在流行しているCOVID-19とSARS-CoVとMERS-CoVの3つです。COVID-19の正式名称はSARS-CoV-2です。遺伝子配列がSARS-CoVに酷似しているため「-2」、つまりSARSの亜種です。ウイルスは生物とは言い難く意思も持ちませんが、生物の生きる目的は自分の遺伝子を残すこと。SARS-CoVは生き残るために毒性を弱め、感染力を高めて、世界中に広がることに成功した。そう考えると、COVID-19はSARS-CoVの進化版と考えられないでしょうか。
◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。
編集者のオススメ記事
ドクター備忘録最新ニュース
もっとみるドクター備忘録/「はちみつ大根」の効能を医師が解説 薬膳の理論に基づいたレシピで喉を潤し脾胃を補う
認知症予防にミソ汁を アルツハイマー病は50代以降3段階で進行→年齢に適した具材を選んで
薄毛が最近気になる 男性型脱毛症に驚きの効果もたらすAGA治療薬とは 早期発見、早期治療がカギ
なぜ薬不足なのか 厚労省、財務省の施策に行き着く→「ジェネリック医薬品を普及させる」
サウナで「ととのう」ためのコツ 水分を補給し髪と体を洗いましょう、汗が出やすくなる!
5年生存率2~6%の原発不明がん 痛み、違和感で受診必要なケースは?医師が解説 原発巣は肺、膵臓など多数
10代アイドル襲ったベーチェット病 若い世代で発症、口や外陰部になどに症状、治療は難渋
年代別アルツハイマー対策とは 50代はメタボ解消、60代はカボチャ&納豆、70代は 医師が解説