元日本代表ボランチの福西崇史氏が読み解くカナダ戦 収穫だった鎌田のボランチ 守備の追い込み方は修正必要
「国際親善試合、日本代表1-2カナダ代表」(17日、ドバイ)
サッカーのW杯カタール大会(20日開幕)に出場する日本代表は、同じくW杯に臨むカナダ代表に1-2で逆転負けした。前半、相馬勇紀(25)=名古屋=のゴールで先制したものの、前半にCKから失点し、試合終了間際にPKを与えて勝ち越された。23日の1次リーグ初戦・ドイツ戦に向けた収穫と課題は何か。2002年日韓、06年ドイツW杯日本代表の福西崇史氏が解説した。
◇ ◇ ◇試合の意義としては、試せたということが第一。コンディションを上げるため、ある意味、底上げはできた。ただ、内容としては特に前半、浅野と南野のコンビが合わなかった。そして、チーム全体として守備は限定して行きつつも、ボールを取る勢いがなかった。セットプレーに対する弱さも出た。
良かった点は、守田や遠藤が厳しい場合を想定してのことだと思うが、鎌田をボランチとして使えたことだ。柴崎は守備の面では間を空ける場面があったものの、攻撃の面では、やはり柴崎が一番いい。縦にボールを入れるのは鎌田と柴崎。柴崎のパスは効果がある。
3バックになって、互いの距離も良くなった。試合開始からはないだろうが、早い段階での3バックへの変更はありだと思う。
ケガを抱えていた選手については、浅野はコンディションが上がっていない印象で、判断の悪さを感じた。今のところ、前田か上田でいくのではないだろうか。後半、上田を使ったことで、柴崎の縦パスから南野に落としたシーンや、鎌田が出してターンした場面など、起点として上田がチームのためになった部分は多い。
田中碧はキレや勢いで勝負するタイプだが、自分の持ち味が出せなかった。ただ、これでコンディションは上がると思う。板倉は強さも見せていたし、良かったと思う。
PKを与えたシーンだが、山根はあのプレーの前にも、サイドでも足を出してファウルをもらっている。スピードがある選手に対しては絶対にやってはいけない。これで勉強になっただろうし、反省できたからいいのではないか。
ドイツ戦に向けては、やりたいことの統一性を図ることが大事になる。守備の追い込み方について、遅れていることでうまくいかなかったことも多かった。攻撃の面では距離感のいいときはワンタッチで出せているものの、相手を上回るところができていない部分もあった。
けが人がいることは不安材料ではある。だからこそ鎌田のボランチ起用や、田中や柴崎を使うことを意識したはずだ。三笘がだめだったときの相馬も試せた。あらゆることを想定した試合だったと思う。