高松商・橘 コロナ禍で中止…兄の無念晴らした甲子園初安打「たくさんのお客さんから力をもらえました」
「選抜高校野球・1回戦、早実8-2高松商」(22日、甲子園球場)
兄が夢見た大観衆に包まれる甲子園で躍動した。高松商(香川)の橘朋宏外野手(3年)は四回1死で外角直球を捉えて甲子園初安打となる左前打をマーク。華麗な一打で高松商アルプスを沸かせた。
「グラウンドに立ったらたくさんのお客さんから力をもらえました」。5年前は失われていた光景だった。兄・孝祐さんは尽誠学園の捕手で2020年春のセンバツ出場を決めていたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって大会が中止。夏の交流試合で聖地の土は踏んだが、無観客の静寂の中でプレーした。
兄の無念を晴らすためにも朋宏は甲子園を目指した。1年冬には走塁練習中に右肩を脱臼。「投げるのが怖くなってしまった」と復帰後も右肩を思うように動かせず、送球イップスのような状態に陥った。体が投げる感覚を思いだすまでひたすら白球を投げ続け、送球難を克服。新チームからレギュラーをつかみ、秋季四国大会では2打席連続本塁打を放つなど、自らの活躍で聖地への切符を手に入れた。
この日は孝祐さんがアルプススタンドで観戦した。「観客がある甲子園で勝ち進んでいくというのを味わわせてあげたかった」と朋宏。ブラスバンドの生演奏が鳴り響く聖地で、夏こそは兄と白星を分かち合う。
◆橘 朋宏(たちばな・ともひろ)2007年7月10日生まれ、17歳。香川県高松市出身。179センチ、73キロ。外野手。右投げ左打ち。小学2年時に円座サンダースで野球を始め、香東中の軟式野球部でプレー。高松商では1年秋に背番号「15」でベンチ入り。50メートル走6秒2、遠投92メートル。
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