３日に肺炎のため亡くなった歌舞伎俳優・市川團十郎さん（享年６６）の葬儀・告別式が２７日、東京・青山葬儀所で営まれた。團十郎さんとともに半世紀以上、歌舞伎の道を歩み続けた尾上菊五郎（７０）と坂田藤十郎（８１）が弔辞を述べた。

　菊五郎は２６日、長男・尾上菊之助（３５）の挙式で喜びに浸ったばかりだったが、一夜明けたこの日は、正反対の感情を胸に抱いた。友人代表として紹介され、團十郎さんの遺影に向き合うと、用意していた文章を読み上げるのではなく、自らの言葉で語りかけた。

　「夏雄ちゃん（團十郎さんの本名）、６０年の付き合い、ほんとに楽しかった。面白かった。そして、心より心よりありがとうと申しあげます。せがれ（海老蔵）もしっかり勉強して、成田屋一門代表です。安心して休んで下さい。お疲れさまでした」。何度も鼻をすすり必死に涙をこらえながら、５０秒間の短い弔辞に、あふれる思いを詰め込んだ。

　参列後に会見した藤十郎は、昨年１２月１７日の團十郎さんとの最後の共演を振り返った。「幕が閉まりまして、團十郎さんは『お疲れさま』というように、にこやかな顔をされていて。弁慶のメーキャップをしてても、優しくて…。まさかあれが最後になるとは」と悲しみに暮れていた。