蟹江さん訃報、能年も小泉もショック
3月30日に俳優の蟹江敬三さん(享年69)が胃がんのため死去していたことが分かってから一夜明けた5日、NHKドラマ「あまちゃん」で共演した女優の能年玲奈(20)、小泉今日子(48)が悲しみの声を寄せるなど、芸能界に衝撃が広がった。
都内の自宅では、蟹江さんの妻がデイリースポーツの取材に対応。遺作となるテレビ朝日系「おとり捜査官・北見志穂」は5日夜に予定通り放送され、蟹江さんの最後の名演を伝えた。
“おじいちゃん”に送る言葉は愛にあふれていた。蟹江さんはドラマ「あまちゃん」で、武骨な漁師・天野忠兵衛を演じた。その孫を演じたのが能年、娘役が小泉だった。
“家族”の訃報を聞き、能年は「忠兵衛さんが、大好きです」と悲しみの思いをコメント。「蟹江さんの、内に感じるパワーと外に放出するパワー、どちらもが心地よくて、忠兵衛さんとのシーンは毎回とても楽しみにしていました」と蟹江さんをしのんだ。
“父親”を亡くした小泉も思いは同じだ。所属事務所を通じ「船乗りの忠兵衛父さんは、最後に誰にも告げず、こっそりと漁に出ました。だからまた、ひょっこり帰って来るような気がしてなりません。怖い役も多かったけれど、優しくて、笑顔がすてきな方でした」とコメントし、蟹江さんを役柄に重ねた。
東京都内にある蟹江さんの自宅はこの日、すべての窓にシャッターが閉められ、静まりかえっていた。蟹江さんの妻は、本紙の取材に「芸能界のことは分かりませんので、私からは何も言えません。本当に、蟹江がお世話になりました」と声を詰まらせた。
温かな人柄は自宅の周辺住民でも評判だった。近隣の住民は「蟹江さんは、よく朝早くから自分で布団を干していた。スターだから誰にも言っちゃいけないなと思っていたんです」と話した。出かける際には、自宅から30分かけて最寄り駅まで歩く“庶民派”だったという。名演とその人柄を人々の胸に残し、蟹江さんは静かに舞台から去っていった。