謙さん涙の弔辞 蟹江敬三さんとお別れ
3月30日に胃がんのため亡くなった俳優の蟹江敬三さん(享年69)のお別れの会が13日、東京・青山葬儀所で営まれた。役者仲間の渡辺謙(54)や名取裕子(56)のほか、能年玲奈(20)をはじめとするNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の共演陣ら700人が参列。渡辺は「いいんだよ、いつでも現場に顔出したら。待ってるから」と涙の弔辞をささげた。
えくぼを作りほほ笑む蟹江さんの遺影に向かって、渡辺が男泣きした。白一色の花で埋め尽くされた祭壇の前で、悲しみに顔をゆがめながら、「もっと目やに、鼻水、よだれでぐずぐずのカニさん、見ていたかった」と涙声で語りかけた。
渡辺は1990年代に放送された自身の主演ドラマ「わが町」シリーズなどで、蟹江さんと共演、親交を深めた。「画面でも現場でもいつも気になる存在でした。温かく、厳しく、本当にかわいがってもらいました」と感謝。「あまちゃん」で蟹江さんが演じた、主人公・アキの祖父、忠兵衛を引き合いに出し、「あまちゃんのじぃちゃんみたいに、『アレはウソだったんだぜ』って、ひょっこり顔を出しそうな気がします」と、役柄に合わせるように声色を変え、思いを表現した。
ほかにも、ドラマ「おとり捜査官・北見志穂」シリーズで17年間共演した松下由樹(45)や、名取、石橋蓮司(72)らも送る言葉を述べ、参列者は、中原中也の詩集を朗読する蟹江さんの声が流れる中で献花した。
喪主を務めた蟹江さんの長男で、俳優の蟹江一平(37)は「そろそろ共演させていただいていいかなと思ってたのですが…。はっきりと『お前とはやらない』と言われてましたけど、父親の感情が芽生えるからでしょうね」としんみり。同じ道を選びながらも親子共演の夢かなわず、悔やんでいた。