ひと振りにかけた代打男が人気鉄板焼き店を経営 カープOB原伸次さん

現役時代の原伸次さん
2枚

 広陵から広島に入団し、代打の切り札として活躍した原伸次さん(55)。現在は広島市内の鉄板焼き店「Haraya」のオーナーとして店を切り盛りしている。現役時代、勝負強い打撃でファンを沸かせた男は、今は自慢の鉄板焼きメニューでお客さんの舌を喜ばせている。

   ◇  ◇

 広電「十日市町」の電停から徒歩2分のところにある「Haraya」。テーブルと座敷合わせて約30人が入れる店内は、いつもお客さんで賑わっている。オープンキッチンの大きな鉄板の前に立った原さんは次々と入る注文に手際よく対応し、出来たての料理を提供していく。

 人気メニューは「ホルモン焼き」や「手作りぎょうさ」など。ステーキなどの肉料理はもちろん、揚げ物、サラダ、ご飯ものなどメニューは80種類以上ある。カープの試合がある時は店内のテレビに中継が流れ、ファンの一喜一憂する声が上がる。「忙しくて、なかなか試合を見る暇がなくて」と苦笑する原さんだが、時にはお客さんとの野球談義に花を咲かせることもある。

 95年の現役引退後、広島や中日でコーチを務めた。06年の中日退団後、約半年間、東広島市の鉄板焼き店で修行。07年6月に店を構えると、すぐに人気店となった。オープンから今年で12年目。「無我夢中の11年でした。野球をしていた頃とは比べものにならないぐらい早かったですね」。最近は原さんが元カープ選手ということを知らずに訪れるお客さんも多いそうで、「おいしいという評判を聞いて来てくれるみたいです。うれしいですね」と顔をほころばせる。

 原さんは広陵から80年度のドラフト4位で入団し、4年目の84年には日本一を経験。阪急との日本シリーズでは第5戦で今井雄太郎から代打安打を放っている。レギュラーの座はつかめなかったものの、勝負強い打撃はチームに欠かせず、代打の切り札として活躍。86、91年にもリーグ優勝を味わった。

 「自分の中ではチームの勝利に貢献できたと感じたのは最後の数年だけ。その程度の野球人生ですよ」と謙そんするが、91年には代打で・324、13打点を記録して優勝に貢献。93年にも代打で・340をマークし、その年の代打成績ではリーグトップの数字を残すなど、往年の赤ヘルファンの間では今も背番号27の勝負強さは語り継がれている。「華々しい野球人生ではなかったけど、ひと振りにかける代打という仕事は自分の性分に合っていたのかなとは思います」と振り返る。

 バットから包丁とヘラに持ち替え、料理人として生きる原さんの目には、現在のカープはどんなふうに映っているか。「僕が入団した前年までカープは2年連続日本一。投手も野手もすごいメンバーがそろっていました。今のチームもその時と遜色のないメンバーがそろっていると思います」。OBとして期待するのはもちろん34年ぶりの日本一だ。

 原さん自身も精進の日々は続く。「オープンから11年たったといっても、まだまだ自分はプロの料理人だとは思っていません。これからもずっと料理人としての修行は続くと思っています。あと5年で還暦なんですけど、くたばらんように頑張らんといけんね」。そう話すと、現役時代と変わらない甘いマスクから柔和な笑みがこぼれた。(デイリースポーツ・工藤直樹)

関連ニュース

これも読みたい

編集者のオススメ記事

あの人~ネクストステージ最新ニュース

もっとみる

あわせて読みたい

主要ニュース

ランキング

  1. 佐々木朗希 目にいっぱいの涙ため込む 本拠地デビューで二回途中2失点KO 制球定まらず、球速も上がらず 本拠地落胆の声

  2. 【野球】ポスティングでの米大リーグ挑戦を希望する選手が続出する現状に球界OBが疑問符 「なんか勘違いしてるんじゃないか」 落合博満氏はかつて「契約金返してから言え」と提言

  3. えっ?12歳!?木下優樹菜 ギャル化した小6長女とツーショにネット驚愕「スタイルよすぎ親子」「大きくなりすぎ友達みたい」

  4. 佐々木朗希 目にいっぱいの涙ため込む 本拠地デビューで二回途中2失点KO 制球定まらず、球速も上がらず 本拠地落胆の声

  5. 「行列」最終回 TVで見なくなった美人弁護士が現れ騒然 夫は有名俳優 3児綺麗ママの姿に「久々見た」「戻ってきた」「顔好き」

話題の写真ランキング

写真

リアルタイムランキング

  1. フジ第三者委 被害女性は元フジのアナウンサーと公表 23年6月休養→PTSD→24年8月退社

  2. フジ被害の女子アナは昨年8月退職 23年10月入院時の写真をインスタ投稿 入院中自傷行為、相談当初「私が死ねばよかった」

  3. 中居正広「金スマ」復帰 陣内智則「食べ方異常やった」と休養前の暴食内容明かす 中居「気をつける」

  4. フジ第三者委 被害女性は元フジのアナウンサーと公表 23年6月休養→PTSD→24年8月退社

  5. フジ第三者委 被害女性は元フジの「アナウンサー」と公表「数年後に退職している」と

注目トピックス