「監督をクビになった後、職安に…でも」 元カープ新人王投手は生粋の野球人
86年の新人王、元広島投手の長冨浩志さん(58)は現在、東京・江東区の「スポーツデポ」南砂町スナモ店でベースボールアドバイザーとして販売に携わっている。
野球だけでなくサッカー、テニス、水泳など約20万点の用品を取り扱う大型店。長冨さんは野球を中心に、道具選びの助言やアフターケアのサポートも行う。現役時代は速球派として通算77勝を挙げたが「他の競技もいろいろ勉強はしています。なかなか難しいですけどね」と笑みを浮かべる。
02年に現役引退後は指導者に転身。古巣ソフトバンクや独立リーグでコーチ、監督などを務めた。指導者への思いは強かったが、11年からは約2年間、ゴルフ場管理の仕事にも携わった。
「独立リーグの監督をクビになった後、職安に行って。ゴルフは自分もやっていましたから。芝生をきれいに刈ってましたよ。でも、やっぱり『なんか違うな』って」
生粋の野球人。元広島の鍋屋道夫さん(58)から誘いを受け、現職に。“営業活動”も兼ねているが、少年野球教室を開催したり、地域の少年野球チームの指導を行ったりすることもあるという。
「野球を通して人を育てることが楽しいですね。正しいことを遠回りせず、早く教えられることが理想ですね」。研修を受け、学生野球資格も回復。月2回程度で母校・千葉日大一の練習場にも足を運ぶ。
衰えない野球への情熱。広島のOB会には今も顔を出し、今年1月には広島・田中広輔内野手と同店で行われたトークショーにも参加した。「今年は調子悪そうですよね。頑張ってほしいです」。仕事の合間にプロ野球の結果も気にかける。
現職に就いて7年目。売り場では世間の野球離れを実感することもあるという。今は売り上げを伸ばし、硬式用の道具を店舗に増やすことも目標。「道具を買ってうれしそうに帰っていく子を見ると、こっちも笑顔になりますね。『よし、頑張れ』って。そういうお客さまを少しでも増やせたらいいですね」。スポーツ界の未来のために、恩返しを果たしていく。
(デイリースポーツ・佐藤 啓)