コロナ禍で経営するバーは閉鎖、移転…元ボクシング世界王者の”再起”を支えるのは愛犬の豆柴

 プロボクシング元WBA世界ライトフライ級王者の山口圭司さん(48)は現在、大阪府松原市で「函館カフェ&バー ハメド2」のマスターをしている。大阪・天満で人気のあった1号店はコロナ禍などで2020年12月末に閉鎖し、新天地での再出発。それを支えているのが美佐子夫人と豆柴のメスで1歳になるナズちゃんだ。今後の展望と愛犬自慢を語ってもらった。

 大阪・天満に「函館バー ハメド」を出したのが2016年11月22日のことです。1997年に2階級制覇を狙って敗れた因縁の日と同じで、あの悔しさを忘れないためでもありました。当時の店は天満駅からホンマにすぐのところ。場所も良く、ボクシングの試合後なんか関係者であふれかえってたほどです。

 そんな矢先に、まさかのコロナ。休業せざる得なくなり、先行きが見通せない状況が長く続きました。そこへ義父が病魔に冒され、嫁さんが介護することに。そのタイミングで20年12月末に天満の店を閉め、翌年1月に松原市に引っ越しすることになりました。

 その後、義父は亡くなり、嫁が家業「竹中製作所」を継ぐことに。一方で僕の方は、もう一度バーを出すつもりでしたが、コロナは収まらず、物件を探しながら悶々と過ごしていました。それを見かねた嫁さんが「体に悪いからワンちゃん飼って散歩でもしたら」と提案したのが豆柴と出合うきっかけです。ちょうど1年前のこと。嫁さんも会社で「さくら」という柴犬を飼っており、いいんじゃない、と思っていたようです。

 早速、ネットで調べて佐賀県のブリーダーを訪ね、そのときのフィーリングで愛くるしい豆柴の女の子に即決しました。言うまでもなく名前の「ナズ」は僕の永遠のアイドルでもあるフェザー級世界3団体統一王者ナジーム・ハメドの愛称からとったものです。女の子なのに。でも、店名もハメド2としてますしね。好きなモノは仕方ありません。函館は出身地。ちなみに今回はバーの前にカフェもつけました。

 実は、いまのナズは2代目なんです。初代はリスザルのオスで22歳のとき、世界チャンピオンになった記念に飼い始め、6年ほど一緒に過ごしたんですよ。タイに行った際、同じようなサルを見て、かわいいと思ったのがきっかけ。当時、天下茶屋のペットショップでひと目ぼれしました。ワシントン条約の前だったのかな。

 2代目のナズちゃんを飼い始めて良かったと思うのは朝の散歩が日課になったこと。おかげで顔色が良くなり、16キロほど痩せました。夜、帰ってからも癒やされています。ナズはめっちゃいい子だし、ホンマに賢い。僕と嫁さんが言い合いになったりすると、すぐに仲裁に入ってきます。なかなかの名レフェリーですよ。

 いまの店をオープンしたのは21年11月22日。今度は世界戦で敗れた日というより”いい夫婦の日”という意味合いが強いかな。開店には元世界チャンピオンの畑山隆則さんが来てくれて。向こうは青森で、こっちは函館。出身地も近いし、昔から仲良くしています。ただ、天満と違って、ここ天美は午後10時すぎたら人が通らないんですよ。天満のときに毎週のように通ってくれてた人も月1回程度に。終電が早いから仕方ありませんよね。近くに阪南大があるので学生にも寄ってほしいのですが、最近の学生はあまり飲まないのかな。

 もちろん、ここで頑張るしかないわけだし、地元に根づくように長い目で見るようにしています。近ごろ、やっと地元のお客さんも増えています。それと実は最近、いいアイデアを思いついたんですよ。ひとつは占いスペースや習字、ウクレレ教室を開くこと。幸い、天満の店より広いですからね。

 それと、もうひとつ。午前中から5時ぐらいまで喫茶店として営業し、地元の人に任せてみようと思うんです。ここらあたりは年齢層が高めなのでモーニングとか良さそうでしょ。その人たちに雇用が生まれるし、店の認知度が高まり、バーの営業にもプラスになるんじゃないかと思うんですよ。どうですか、このアイデア。

 ナズと散歩しながら、いろいろと構想を練っています。

▼函館カフェ&バー ハメド2

大阪府松原市天美東7-12-18 ジョイフル21

近鉄「河内天美」から徒歩1分、席数24席(カウンター8席、テーブル16席)

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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