阪神・岩田稔が引退…持病抱えながら熱く戦い続けた虎一筋16年
阪神・岩田稔が引退しました。05年ドラフト希望枠で入団。1型糖尿病を抱えながら猛虎に欠かせぬ戦力として活躍、また慈善活動も積極的に行ってきました。熱き男の16年をデイリースポーツ紙面で振り返ります。
公開日:2021.10.5
【2006年10月15日デイリースポーツ紙面より】
◆ルーキー岩田にプロの洗礼…3回4失点、84球黒星デビュー
阪神のルーキー・岩田稔投手(22)がプロ初登板で初先発。初回に2点をもらったが、前田に同点弾を浴びるなど、3回を2安打4四球4失点でマウンドを降りた。制球に苦しみ、初黒星を喫したが、MAX149キロの速球には明るい未来がギッシリ。プロの洗礼を糧に、岩田よ、虎の星になれ。
(中略)
「最初は力んでしまいました。三回からは、力みが取れてよかったですけどね」
苦笑いで悔やんだのは、立ち上がりの乱れだ。初回一死一塁から、前田に投じた144キロ直球を、右翼席へ同点2ランされた。さらに、新井に四球を出すと、続く広瀬の場面で連続暴投を与えて、一死三塁のピンチ。三ゴロの間に、逆転のホームを奪われた。
二回も、2つの四球などで4点目を失う。苦しみながらも意地を見せたのは、3者凡退で封じた三回。1つの奪三振、そして最速149キロを記録した直球。岡田監督も「ストレートは良かった」と、確かな光を感じ取っていた。
ルーキーイヤーの1軍登板はこの1試合のみ、2年目も目立った活躍ができなかった岩田でしたが、3年目に大きな飛躍を果たします。
3年目で開幕1軍!プロ初勝利も
【2008年3月17日デイリースポーツ1面より】
◆岩田、G手玉で合格!開幕ローテ
Gキラー誕生の予感だ。阪神・岩田稔投手(24)が巨人打線を相手に5回無失点。危なげない投球内容で、開幕ローテ入りをほぼ決めた。ここまでオープン戦では15回を投げ、防御率0.00と抜群の安定感を誇る3年目左腕。開幕3カード目に控える巨人戦に向け、虎投に心強い“ピース”が加わった。
(中略)
岡田監督は「ランナーが出ても安心して見ていられる。マウンドで落ち着いているし、実際に抑えてるからな」と開幕ローテ入りへ合格点を出した。下柳に続く先発左腕の台頭を心待ちにしていただけに、指揮官としてもうれしくないはずはない。「巨人には負けられないというのはある」という岩田の猛虎魂にも見どころがある。
キャンプ、そしてオープン戦でも結果を出したことから、岩田は初めて開幕1軍入りを果たします。そしてついにつかんだプロ初勝利!
【2008年3月30日デイリースポーツ1面より】
◆岩田、プロ初勝利!涙こらえ「めちゃくちゃうれしい」
無数のフラッシュに顔を紅潮させ、涙を必死に止めた。歓声が鳴りやまぬ中、お立ち台に立った岩田が言葉を振り絞った。「めちゃくちゃうれしいです」―。長かったプロ初勝利への道。響き渡る「岩田コール」を全身に浴び、左腕はただただ勝利の余韻に浸った。
(中略)
開幕2戦目の大役を託した岡田監督も「力があるからよ。決してラッキーで勝てたわけじゃないよ」と最大級の賛辞を送った。
「これからもチームの勝利に貢献できるように、一生懸命頑張っていきます」と岩田。終わりではなく、始まりの1勝。若虎の進むべき道は、希望に満ちあふれている。
【2008年10月713日デイリースポーツ1面より】
◆岩田、指揮官予言に応えた親孝行10勝
歴史的V逸とはなったが、阪神が立派な82勝締めだ。18日からのCSで激突する中日との今季最終戦は、岩田稔投手(24)が6回1失点で初の10勝目。この日、岡田彰布監督(50)は改めて今季限りで辞任する意志が固いことを明らかにしたが、孝行息子がCSでも指揮官に有終の白星を贈る。
(中略)
前日の試合前ミーティングで、岡田監督から辞任の決意を聞いた。
「入団した時の監督なんで、何とか恩返しがしたいと思ってました」。昨季までプロ未勝利だった岩田をローテに抜てきし、飛躍のきっかけを作ったのが指揮官。そして2ケタを目前に足踏みする左腕に最終戦のマウンドを託し、最後のチャンスを与えた。そんな恩師の思いに結果で応え、新人王争いの有力候補にも名乗りを上げた。