阪神・岩田稔が引退…持病抱えながら熱く戦い続けた虎一筋16年
阪神・岩田稔が引退しました。05年ドラフト希望枠で入団。1型糖尿病を抱えながら猛虎に欠かせぬ戦力として活躍、また慈善活動も積極的に行ってきました。熱き男の16年をデイリースポーツ紙面で振り返ります。
公開日:2021.10.5
山あり谷ありのプロ野球人生
虎の生え抜き選手として長く活躍してきた岩田ですが、決して順風満帆ではありませんでした。故障や手術、まったく結果が出せない年もありました。さらに新型コロナウイルスの流行も、持病を抱える岩田にとって大きな障壁となりました。
【2009年3月28日デイリースポーツ1面】
◆虎大ピンチ!岩田左肩痛…左肩肩峰下滑液胞炎
開幕を間近に控えた真弓阪神を痛すぎるアクシデントが襲った。第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の阪神の岩田稔投手(25)が27日、大阪市内の病院でMRI検査を受け、左肩肩峰下(けんほうか)滑液胞炎と診断された。日本時間18日に米国で行われた2次ラウンド2回戦の韓国戦後に違和感を覚えていたことも明らかになった。開幕ローテ入りは絶望で、戦列復帰は早くても5月中と見られる。
(中略)
WBCでは、日本の公式球より滑りやすいボールを使用しており、マウンドも硬い。前回大会でもロッテの小林宏がWBC公式球の影響で右肩に違和感を訴え、開幕を棒に振った。また他の選手が12月中から準備を進めていく中、岩田の招集が決まったのは1月上旬。急ピッチで仕上げた上、中継ぎとしての調整も不慣れだった。
(中略)
首脳陣やチームへの報告を終えた岩田は鳴尾浜で約2時間患部のケアに努めた。「早く復帰できるように頑張るだけなんで」と前を向き、長引きそうかとの問いには「そうでもないです」と気丈に語った。当面は鳴尾浜でリハビリを続ける。
【2011年5月6日デイリースポーツ1面より】
◆岩田、578日ぶりG倒復活号泣星!左肩…左肘メス…あきらめなかった
昨季、左肘を手術して1軍登板がなかった阪神・岩田稔投手(27)が、伝統の一戦で7回6安打1失点。2009年10月4日・中日戦(甲子園)以来578日ぶりの白星を挙げた。今季4試合目のマウンドでようやくつかんだ涙の勝利は、「こどもの日」に同じ病と闘う子どもたちにも大きな勇気を与えた。
(中略)
最後は言葉にならなかった。泣いた。人目もはばからず泣いた。578日ぶりの勝利。長かった。苦しかった。それでもまた、この場所に帰ってきた。左肩に左肘、2度のケガに泣いた岩田の復活星だ。
「あの…。すごく、うれしいです。腐らずに…前を向いてやろうと、きょうまできました」
閉じた目に、こぼした涙に、苦しいリハビリ生活が浮かんだ。08年に10勝を挙げて台頭したが、翌09年は左肩の故障で7勝。昨年は開幕前に左肘を手術してシーズンを棒に振った。
(中略)
「あとがない、背水の気持ちでした」。0勝3敗で迎えた4試合目の登板。またも沢村との投手戦となった。四回、ラミレスに先制のソロ弾を浴びたが、持ち前のクセ球を武器に的を絞らせない。五回に味方が同点に追い付くと、裏のマウンドでは1死一塁から小笠原を二併殺に。大きく雄叫びを上げ、両手を力強く叩く。珍しく感情を表に出して勝利を求めた。
(中略)
7回6安打1失点。マートンに手渡されたウイニングボールを手に、左腕はお立ち台に立った。「トレーナーや理学療法士さん、お世話になった人に少し恩返しができたかと。でも、まだこれで終わりじゃない」。右手で何度も目頭をこすりながら、声にならない声を絞り出した。涙の復活星は、新たな始まりの1勝。帰ってきたマウンドで、岩田は希望を与え続ける。
阪神の岩田稔投手(33)が29日、西宮市の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1500万円減の5300万円でサインした(金額は推定)。
岩田が限度額に近い1500万減 来季は「引退覚悟で」
今季は6試合に登板して0勝3敗、防御率8・85。1軍での登板がなかった2010年以来となる未勝利に終わった。9月には救援で2試合に登板したが結果を残すことはできず、「限度額マックスに近いダウン」という提示にも納得の一発更改となった。
岩田が限度額に近い1500万減 来季は「引退覚悟で」
「初心に帰って、引退覚悟で頑張ります」
岩田が限度額に近い1500万減 来季は「引退覚悟で」