田面が変わったのは、掛布２軍監督が発した何気ない一言がきっかけだった。
　昨年１２月、台湾で開催されたアジア・ウインターリーグ。

　「２月１１日に投げてみるか？」
　高知・安芸で行う２軍キャンプ。２月１１日は、韓国・ハンファとの練習試合が組まれていた。掛布２軍監督にとっての初陣だった。「シャレで言ったんだよ」。和やかな食事会のムードに乗せられた、冗談交じりの一言だった。だがその言葉に、２５歳の青年は「照準を合わせて、１００％でいけるようにします」と奮起する。

　「コーチからも田面の話を聞いていたし、少し心配してた部分もあったんだよ。でも、もう大丈夫だと思う。変わろうとしているよな。『よし、いける』と思ったね」

　阪神・田面（たなぼ）巧二郎投手＝２５＝が１０日、１軍本隊に合流。雨天でこの日の巨人戦は中止となり、甲子園の室内で調整した。金本知憲監督（４８）は「第２の原口になってほしい」と、正捕手への道を突き進む原口文仁捕手（２４）を例に出し、強烈なハッパをかけた。

　「ファームのときから、原口にはよく受けてもらいました。１軍でもバッテリーを組んで、抑えられたらいいと思います」