阪神・大和、FAでDeNA移籍…今まで虎でプレーしてくれてありがとう!
阪神からFA宣言した大和内野手が、DeNAに入団することが決まりました。2018年からは同一リーグで戦う敵に…。悲しいけれど、幾度となくチームの窮地を救ってくれた“虎の大和”の雄姿を振り返ります!
公開日:2017.12.3
【2006年2月22日デイリースポーツ紙面より】
高校生ドラフト4巡目・前田大和内野手(18)=樟南高=が21日、1軍メンバーに交じってノックに参加した。初めて見たその非凡な才能に、岡田彰布監督(48)は25、26日のオリックスとのオープン戦に出場させることを即決。
(中略)
島野2軍監督が「入団時の立浪以上や」と絶賛する「大和情報」は、沖縄で耳にしていた。期待はしていた。だがこの日、初めて目にした前田大の姿は、岡田監督の想像以上だった。難しいゴロをいとも簡単に処理する流れるような球さばき。「高校出て1年目でなあ。フットワークとか、捕球体勢とか全部よ。非凡なものを持っとるし、落ち着いとる」と絶賛が止まらない。
ノック終了後に「緊張しました」を5連発した前田大。その割にはケロッとした表情で初々しい笑顔を見せた。「ミスはしていません。いつも通りにやりました」と肝の据わったところも見せた。さらに岡田監督の話を聞くと、「頑張ろうという気持ちになりますね。(試合に出られたら)いろいろな人のプレーを見て、盗みたい」と意欲をみせた。
2月24日、大和は初めてデイリースポーツの1面を飾ります。
【2006年2月24日デイリースポーツ紙面より】
大和、好発進や!阪神・前田大和内野手(19)=樟南=が23日の紅白戦で紅組の「9番・遊撃」で初先発。守備では赤星をアウトにする美技。さらに苦手の打撃でも初ヒット。華麗な活躍を見せる高卒ルーキーに、岡田彰布監督(48)も、25日の安芸でのオリックスとのオープン戦で「9番・遊撃」としてフル出場させることを明言した。
(中略)
「かわいいし、うまいねえ。センスもあるよ。守備が売りになってくるんじゃないかな」。三塁から視線を送っていた今岡のイキなコメント。前日、三遊間の打球処理を指導した岡田監督も「(赤星をアウトにできたら、ほかは)全部アウトやな。いいプレーというのは間違いない。反応はええよ」と手放しで褒め称えた。
守備だけじゃない。弱いとされる打撃でも、二回に下柳から一塁後方へポトリと落ちるラッキーな二塁打。“プロ初安打”を最多勝投手から打つ、強運ぶりを見せつけた。
【2006年2月26日デイリースポーツ紙面より】
すがすがしい笑顔だった。「プロはやっぱり違うなぁと思いました。打球の速さも、球の速さも、全然違いましたね」。スパイクの金具から、黒土の恵みを1滴残らず吸い上げた。この男、前田大和。18歳―。
オープン戦初戦いきなりの遊撃スタメン。それでも気負いはなかった。「最初は緊張したけど、関本さんや中村豊さんが声を掛けてくれましたから」。三回までに3度の守備機会を難なくクリア。生まれる前からそうだったかのように、遊撃守備を華麗にこなしていく。
二回にグラボースキーに二遊間を抜かれると、四回の打席では二遊間寄りにシフトし、打球方向をまんまと的中させた。打球は惜しくもグラブの先をすり抜けたが、岡田監督も「いろいろ考えてるわなあ」と目を細めた。
「2006フレッシュオールスター」(20日、東京ドーム)
“夢の舞台”でハツラツプレーだ。前田大が五回の守備から登場。打っては3打数1安打1盗塁と活躍。守っては九回、最後の打者の二飛をがっちりキャッチし、満面に笑みを浮かべた。
絶対打ってやる―。先頭打者で打席に入った六回の初球。金森の138キロ直球を中前に運んだ。「5月に鳴尾浜に来てくれた時には打てなかった。だからホントに打ててよかった」。気持ちのひと振り。塁上で白い歯を見せた。すぐさま二盗も決めた。「一塁コーチが“いっていいぞ”って。やるしかないと」。足でもアピールできた。
(中略)
守備では五回からプロ入り後、初となる二塁のポジションに就いた。「岩井監督がいけるか?って言われたから“はい”って。(プロ入り後)初めて守ったセカンドを無難にこなせたんで、収穫ですね」。18歳の若虎は慣れない位置に動じるどころか、冷静に先を見ていた。