9連勝V目前でも不満はジョンソン!
最大の正念場だった2位・阪神との直接対決(5~7日・マツダ)に3試合連続逆転勝ちし、余勢を駆ってナゴヤドームでの中日戦も3連勝。都合9連勝として37年ぶりのリーグ連覇までのマジックを「5」とした。とにかく、優勝に突き進むチームの“勢い”をまざまざと感じた1週間だった。
流れを決定付けたのは、5日の阪神21回戦に他ならない。1点をリードして迎えた九回、抑えの中崎が福留にまさかの逆転2ランを浴びた。さすがに再逆転は厳しいかと思いきや、途中出場で好走塁を見せていた野間の内野安打から安部が逆転サヨナラ2ラン。阪神の守護神・ドリスを攻略してマジック「12」を点灯させた。この初戦で金本阪神に与えたダメージはとてつもなく大きく、3連戦で一つ勝てば良かったカープにとっては精神的な余裕が生まれた。残りの2試合はまさに怒涛の勢いでもぎ取ったと言える。
8月下旬にDeNAに3試合連続サヨナラ負けを喫し、4番・鈴木も戦線離脱するという非常事態に陥って以降、ネジを巻き直した赤ヘル軍団は全員の力で下降気味のチームを立て直した。鈴木がいなくなって奮起したのが松山や西川であり、菊池、丸の状態が今一つの時は安部や会沢が得点源となった。野間や上本は自慢の走力を発揮、岩本も9日の中日23回戦で逆転3ランを放つなど存在感をみせた。勝負強く粘り強い打力には敬服するばかりだ。そうしてベンチ入りの誰しもが必死で戦っている中で、一人蚊帳の外だったのが左腕エース・ジョンソンだった。
7日の阪神23回戦に先発し、4回4失点で降板。前の登板(1日・ヤクルト21回戦=神宮)で好投し、6勝目を挙げていただけに首脳陣も期待を持って送り出したのだが、全く期待外れの結果に終わった。試合開始直後、25分間の降雨中断もあったが、それを差し引いても内容は悪く、それ以上にマウンド上の態度が悪かった。個人的にはそれが一番残念で仕方がない。
問題のシーンは、1点ビハインドで迎えた四回表、2つの四球が絡んだ1死満塁として投手・秋山。ここでジョンソンは平凡なゴロを三塁前に打たせた。三塁・西川がこれを捕球、ベースを踏んでから一塁へ送球したが、引っ掛かったのかワンバウンドとなって一塁・安部が取れず三塁走者が生還し、手痛い4点目を失った。この時、ジョンソンは頭を抱えてしゃがみ込んだ。昨年沢村賞を獲得し、自他共に認める広島のエースとしては絶対取ってはいけない態度だった。緒方監督もそう考えて受けた石原をセットにして4回で代えたのだと思う。
結果的にその後、打線がひっくり返してくれ、中継ぎ陣も頑張ってチームは勝ちを拾えた。3試合連続逆転勝ちに沸いたベンチ裏では、ジョンソンと首脳陣の話し合いが行われたのは容易に想像がつく。「ああいう態度は絶対にいけない!」と助っ人左腕にクギを刺しただろうし、精神的ケアをしたはずだ。しっかりとコミュニケーションを取って“しこり”を取り除いておかなければ、残り試合どころか、優勝後のCSファイナルに影響を及ぼすからだ。
「何としても勝ちたい!長いイニングを投げたい!」という強い気持ちがあのような態度になって表れたのだと理解はする。しかし、ジョンソンは若い投手陣はもとより、チーム全体を引っ張っていかない立場の選手である。それが個人的な感情を露わにして連覇へ進むチームの雰囲気を損なってしまうようでは困る。彼には猛省を促したいし、次の登板では必ず周囲を納得させるような投球を見せてほしい。
9月負けなしの9連勝で早ければ14日のDeNA23回戦(マツダ)で優勝が決まる。中6日ならばジョンソンはそこで先発することになる。故障で2度の戦線離脱をし、勝ち星も6勝止まりと不本意な今季だったが、最後はエースらしく快投で締めくくってもらいたい。