固定よりポジション争いがチームを底上げする
3日に佐賀で行われた西武とのオープン戦で、「9番・二塁」で先発した美間が3安打3打点の活躍を見せた。同じく「2番・中堅」で先発した下水流も3安打を放ち、メヒアは2月24日の楽天戦を皮切りに3、4日と3試合連続の本塁打。庄司や新たに外野の守備にも挑戦している上本も1軍で必死にアピールしている。
現時点で野手のレギュラーで決まっているのはタナキクマルと鈴木だけ。あとのポジション、例えば捕手なら会沢、石原、成長著しい坂倉、さらには打撃のいい船越もいるし、左翼なら松山とバティスタ、一塁は新井、エルドレッドといったように、どこも競争が繰り広げられている。そのポジション争いに、先ほど名前を挙げた選手たちも加わっていければ、見ている方はさらに楽しみが増える。
レギュラーは固定された方が強いという見方も確かにあるが、広島の場合は逆に固定してしまわない方が良いと感じる。控えといえども高いレベルの選手がそろい、活発なレギュラー争いを通じて、全体のレベルアップが図られているからだ。
投手陣も同様だ。昨秋のキャンプから春季キャンプにかけて、高校を出てまだ数年といった若い投手が次々とアピールした。4年目の藤井皓、塹江、2年目の高橋昂、アドゥワといった面々で、オープン戦が始まった現時点でもしっかりと1軍に残っている。彼らもまた既存の1軍投手と生き残りをかけて競争を繰り広げており、それが投手陣全体の底上げにつながっていく。
ペナントレース開幕まであと3週間あまり。投手も野手もこの新戦力の中から、どの選手が生き残り、開幕1軍メンバーに名を連ねることができるか。そしてシーズンに入れば、一昨年の鈴木、昨年の薮田のように大ブレークする選手が今季も飛び出すのか。そういう視点でオープン戦の戦いぶりを追いかけていくのも面白い。