「マリナーズ１-０レッドソックス」（２８日、シアトル）

　奇策は実らなかった。両軍無得点の八回。先頭打者のマリナーズ・イチローが２ボールからバント安打を試みた。「ファーストとセカンドの位置ですね」。相手内野手の守備位置を冷静に見極めた、投手右側へのバント。だが、打球は小フライとなって二塁手のグラブに収まった。

　９戦ぶりの無安打。その悔しさを和らげたのは、代打ジェイソだった。０‐０の九回１死一、二塁でサヨナラ適時打。ベンチから満面笑みで飛び出したイチローは、ある試合でジェイソがティー打撃を５球ほどで切り上げた話を披露。「いやあ、不思議な選手だねえ。完全に実戦タイプですよ」としきりに感心した。

　試合前はフィールドでレ軍・松坂と約１カ月ぶりに再会。「ちょっと、やせたかな」。顔を見るなり、相手の腹回りをチェック。“散髪指令”を出していた髪形には「色は終わっとるわねえ」と再びダメ出しで笑いを誘った。