闘病の垣原さんへ前田氏から“特効薬”
悪性リンパ腫で闘病する元プロレスラー・垣原賢人さんの応援大会「Moving On~カッキーエイド」が8月18日、後楽園ホールで行われ、完治を願う出場選手、来場ゲストからエールが送られた。なかでも、垣原さんが入門した新生UWF時代の大先輩・前田日明氏は熱かった。
病状を憂慮する観客に対し「皆さん、心配しないで下さい!レスラーはがんなんかでは死にません!」と迫力満点の口調で断言。入門当時の垣原さんが、先輩にあたる船木誠勝、鈴木みのるらとのすさまじい練習に耐え、実力をつけたことを振り返ると、師匠の故カール・ゴッチさんの逸話を口にした。
「ゴッチさんは『プロレスラーなんでしょう?』と聞かれると、『アイムリアルワン(本物だ)』と言っていた。自分たちはリアルワンの弟子。ただのレスラーじゃない。だから垣原、がんくらいでオタオタすんじゃねえ!」。
勢いは止まらなかった。「家では亭主だろう!子供の前では父親だろう!だったら、しっかりしろ!こんなにも大勢の人がお前のために集まってくれて、応援してくれてる。そんな人のためにも、普通の人なら怖がるような病気を治して、『リアルワン』のプロレスラーが強いところを見せてやればいい。もう1回言うけど、オタオタすんじゃねえ!」
垣原さんを強く思う気持ちが詰まったゲキだった。少々荒っぽいメッセージは観客の心を揺さぶり、大マエダコールがわき起こった。
この日、前田氏は直接、垣原さんの背中を押していた。大会後の会見で、前田氏から食事療法などを授けられたと明かしていた垣原さんは、翌8月19日更新のフェイスブックで対面した際の様子を振り返った。
両親の離婚のため、母方で育てられたという前置きのあと、「前田さんは、僕の目を直視しながら、濁りのない言葉をいくつも投げかけて下さいました。僕が長年求めていたものは、これだったのかもしれません。ふと前田さんに父親像を重ね合わせていた僕は、涙を堪えることは出来ませんでした。UWFの一員で本当に良かったです」とあふれる感謝の思いをつづった。
カッキーエイドの締めでリングに登場した垣原さんは、体こそ細くなっていたが「悪性リンパ腫はとてもしつこいがんです。だから長い闘いが続くと思います。でも、僕は絶対に負けません。UWFは強いんです!」と前田氏に負けない力強さで克服を誓った。もちろん、会場からは割れんばかりのカッキーコールが返ってきた。プロレスラーは強い-。前田氏をはじめ、誰もが病魔への勝利を望んでいる。(デイリースポーツ・大島一郎)