【野球】広島・岩本、高校野球への思い 広島商のエースとして人間的に成長した3年間

 今夏の甲子園も熱い戦いが繰り広げられている。かつて、聖地に広島商のエースとして立った広島の岩本貴裕外野手は毎年、この時期になると高校球児の姿に、自然と目が向くという。自身は04年に出場。開会式直後の第2試合で浦和学院に1-3で敗れ、初日で高校野球に終止符が打たれた。「あっという間に終わった感じ。だから思い出は…。けん制悪送球をしたことくらいかな」と苦笑いを浮かべた。

 広島商と広陵から声がかかり「長く甲子園に行っていなかったから、僕たちの世代で行きたいと思った」と広島商に進学。白球を追いかけ続けた3年間は、かけがえのない経験になった。

 最も思い出に残っているのは、甲子園出場ではない。3年春の中国大会だという。エースで4番と、まぎれもなくチームの中心として伝統校を引っ張っていた。だが、勝利へ気持ちが強過ぎる余り、味方の失策などに感情が抑えられなくなっていた。

 「迫田監督(現・広島新庄監督)に指摘をされたんです。『態度に出すのはいけないぞ』と。あの言葉で自分は変わることができたし、あれがなかったら、後悔して終わっていたかもしれません。人間的にも成長させてもらいました」。

 絶対的な存在1人で勝ち抜けるほど、甘い世界ではない。チームスポーツということを再認識させられ、立ち振る舞いが変わった。

 「1番はしっかりとヒットを打つし、2番は送りバントを確実に決める。本当に良いチームになったと思います」。強くした結束力で夏を制した。

 今夏の広島大会で、母校は広陵に準決勝で敗れた。自身が出場した04年以降、甲子園出場は遠ざかっている。2年生が多かったチームは、この経験を糧に来夏の出場を目指して練習を始めている。岩本は「気になっているし、頑張ってほしいです」とエールを送った。(デイリースポーツ・市尻達拡)

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